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「でもまぁとりあえず、ここは人魚姫の世界でいいんじゃねーの?実際、人魚姫のオレが難破しかけてる船からルーシィを助けたわけだしな」
「あたしシンデレラなのに?人魚姫が助けるのは王子様でしょ?」
「姫が王子でいいんじゃねーの?てかオレだって、人魚姫の前に男だからな」
確か人魚姫の物語は、人魚姫が助けた王子を、隣町の姫が助けて…人間になった人魚姫を王子が助ける…だったような?
そもそも、あたしがいた船は、海賊船なんだけど…
「…このままグレイが主人公のお話が進むとして、あたしは王子様に助けてもらえるのかしら…」
「…姫が姫に助けてもらうんじゃないのか?」
「え、待って、姫が王子で姫が姫で…王子が姫?王子は王子?」
「…やめねーか、コレ考えんの」
「…そうね、軽くゲシュタルト崩壊を起こしかけたわ」
頭をふって、落ち着こうとするルーシィ。
ここが御伽噺の世界(仮)と想定するには、グレイの人魚姫の足?でほぼ充分だろう。ただ問題はこの後の行動だ。
「この辺りを散策しようにも、グレイはその足じゃ無理よね…」
「ここは物語通り、人間の足にしてもらうのが筋じゃねーか?」
「…グレイ、人魚姫の物語、知ってるの?」
「あれだろ、人魚姫は王子を助けても、他の姫に王子をとられて泡になるやつだろ?」
「……え」
ここでルーシィは絶句。
何か間違っていたのかとグレイは不思議顔だが、ルーシィが衝撃を受けたのはそこではない。
「あたしが好きな人魚姫の物語は、王子と人魚姫が結ばれて、ハッピーエンドってやつなんだけど…」
「ああ、そういやそういうのもあったな」
「……もしここで、バットエンドなんてことになったら…グレイは海の泡になる、のかしら?」
「……」
ルーシィの考えに、今度はグレイが絶句するのだった。
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