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二人の姫君(2/2)
「って、服!」
「いや、誤解だ。気付いたときにはもう、何も着てなかったぞ」
「……ギルドにいた時からじゃなくて?」
なんだか感動の再会的な流れだと思ったのに…
ずっと逢いたかったその人が、半裸で登場というのはやはりいただけないだろう。
一時期は慣れていたが、グレイがどこか気になると思い直したその日から、また、直視出来なくなっていた。
そんな乙女心を、少しは察しなさいよ!
「そういうルーシィこそ、朝と格好が随分と違げぇな」
「うん、それが…って、」
「あ?どした?」
流石にズボンは穿いてるだろう。だとしても、先ほどからずっと海水に浸かりっぱなしなのでは?と見やった先にあったものに、ルーシィの視線が釘付けになる。
「何よ、その足…」
「ああ、これか?」
グレイが身を捩ったために海水から出現したそれ…
「オレ、人魚姫らしーんだわ」
「……へ?」
まさに、魚の尻尾。
「えええぇえ!?!?」
「落ち着け、ルーシィ」
岩場に持たれかかった為に目の前に躍り出た尻尾をまじまじと見る。
一枚一枚折り重なる藍色の美しい鱗に、丁度ヒレの辺りに金と銀の輪っかの装飾品がキラリと輝く。
「……どうやらここは、人魚姫の世界みたいだぜ?」
人魚…
グレイの姿とアクエリアスの姿がダブって見えた、刹那…
「ま、おかげでルーシィを助けられたけどな」
「多分違う…」
「は?」
「あたしね、シンデレラって呼ばれたの」
蘇る記憶。
船に乗ってたこと。
船長さんの話。
そこで会ったラックとブレイブの話。…勿論、ブレイブとの二人のやり取りは少し割愛させてもらったけど。
(ブレイブの話をしている間、グレイの眉間には皺が寄りっぱなしであったのだが、きっと話を整理しているのだろうとルーシィは考えていた。)
全てをグレイに話した。
ここまでの話と、今の状況とを合わせた結果、ルーシィには一つの仮説が浮かび上がった。
「まだあたし達二人だけだから、何とも言えないんだけど、もしかしたらあの依頼書のいうこの『世界』って…」
御伽噺なんじゃないかしら?
…それは既に崩壊した世界の物語…
[第四章へ続く]
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2014.09.05加筆修正
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