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「か、かっこよくて…優しくて…変態…」

「…ソイツに似てるオレって…変態…なのか?」

「ち、違っ!」

「じゃぁ、お前は変態が好きなのか?」

「そんな残念な性癖無いわよ!!」





自分が今何を言わされているのか、わからなくなってきた…。プチパニックである。





「そもそも、何でブレイブと似てるとかっ!」

「…そりゃ、ルーシィがオレを見る時の瞳が…オレと好きなヤツを被せてる感じがした」

「そ、んなことしてない!それに好きとか、そんなんじゃ…ちょっと会いたいって思ったけどっ…!」





自分の発言に驚き、ジョッキの中身をあおる。

落ち着こう落ち着こうとするも、口は止まることを知らないかのように動いていた。





「グ、グレイは、ただ同じチームで、かっこよくて、優しくて、だからジュビアがベタベタしてても、優しいから…本気で嫌がったり…しなくて……仲間第一で……ジュビアはチームじゃないのに…」

「………」





なんか、言っててイライラしてきた。
ルーシィのなかの何かのスイッチが入った。





「…そうよ、気づいたらいっつもジュビアの隣にいて…同じチームなのに…あたしじゃなくて、ジュビアばっかり見てて…」

「………」

「グレイは、優しいから…誰にでも…本当に……優しいから…」





泣きそうなくらい胸が痛い。
この感じは…何?
一体、何なの…?

俯きかげんにジョッキをぼんやり見つめるルーシィ。





「すまねぇ……」

「何で謝ってんのよ?」

「…辛い思い、させたろ」

「っ、あたしはただ、ブレイブの質問に答えただけじゃない!本当、ブレイブは優しいのね!」

「…それ、本気で言ってるのか?」

「え、」





どこか冷たいブレイブの声に驚き、振り向く。





「そのグレイとかいうヤツも、オレも…ただ初対面のヤツにまで律儀に優しくするヤツだと、本気で思ってんのか?」





何時の間にかルーシィの手からジョッキが机と化していた酒樽に置かれていた。両方の手をブレイブが包むように握る。





「オレもソイツも…何とも思わない初対面の女に優しく出来るほど、紳士じゃねぇ。むしろその逆…」

「ぇ、」

「オレなら…」





真剣な表情で、ルーシィの目を見据えるブレイブ。
それは、決して逸らすことの許されないように。






「…オレなら、お前にそんな顔させねぇ…」

「あっ……」





ブレイブの手が、ルーシィの頬に触れる。そこから伝わるブレイブのあたたかさ。





「辛い思いをしてまで……そいつに、会いたいのか?」

「えっ」

「そんな顔するくらいなら……このまま、ずっとオレとここに──」






──ズドーンッ!!!!!






「な、何っ?!」





音のした方を見れば、一本の大きな水柱。





「敵か?!」





まさか、大砲…!?

辺りを見回しても、それらしき船は一隻も見当たらなかった。
そのかわり…





「おい、見ろよあれ」

「あぁ、ずいぶんとデケェ渦潮だな…」

「こっちにも水柱が!」





慌ただしくなる甲板。





「このままじゃ…」

「海に呑まれちまう!」

「船長!」





だんだんと水柱のたつところと、船との距離が縮まってきた。





「え、何……」


─ウォォォォ…


水中から響く音。





「なんか、唸り声みたいな…」






それも…どこか聞き覚えのある…




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