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「ほらよ」
隣を見れば、ブレイブがジョッキを突き出してきた。
「…ありがとう」
「いえいえ」
やっぱり…似てる。
服はちゃんと着てるけど。
顔立ちや髪色、背格好だけじゃなくて…
優しいところや、仲間意識の強さなんかも。会いたいなぁ…
「……ィ…」
会いたいよ…
「ル……ィ」
……今すぐにでも
「ルーシィッ!」
「っ!!」
「人の話、聞いてんのか?」
「……ごめん」
「……だろうな」
気づかぬうちに上の空だった……って、あれ?
「あたし、名前言ったっけ?」
「まず第一に。あんだけデケェ声出しゃ、誰にだって聞こえる。
第二に、船長から全部聞いたよ。お前の『世界』のことも…理解してくれたか?」
「……わかりやすい説明をどうも」
「ご理解ありがとう」
ニヤっと笑うと、ルーシィの髪をくしゃっと撫でてきた。
「…キレーな髪してんな」
「っ、ありがと」
思っていたよりも、大きい手にトクンと心臓が鳴る。
「あたしも、ブレイブのこと聞いたわ…」
「…そっか」
「確かに、あたしとブレイブは似てるのかもしれないわね」
「え、」
「…でも、あたし以上に優しい。もしかしたら、あたしの知り合いくらい優しいかも。初対面の相手に、真っ直ぐに向き合って…」
その優しさは、誰にでも最初から向いている。
そう思うと、ジョッキを持つ手に力が入っていった。
「…あのさ」
「…何?」
「お前、やっぱり…
好きな奴とか、いんのか?」
「へっ?」
「お前の言う、ギルドとかっていうとこに…」
「な、ちょっ、イキナリ…何聞いて…」
ジョッキで、顔を隠すようにしながらお酒を飲む。
勿論、ルーシィはあたふたするばかりで、上手くは飲めていないようだが。
「やっぱな…」
ブレイブはため息をつくと、今度は自分の頭をガシガシと引っ掻き回した。
「お前の好きな奴って、」
「い、いないわよっ、好きな人なんてっ!」
「……じゃぁ、少しでも気になっている奴と…」
「………」
「オレって…似てんのか?」
「!!!」
「ははっ、お前って、わかりやすいのな」
「なっ!」
なんで…わかった…!じゃ、なくてっ!!
なんでそんなこと、聞くの?
「そいつって、どんな奴?」
「ど、どんなって……」
「ルーシィ…」
「─っ……」
真剣な表情、近い距離、さっきよりもワントーン低い声…全ての要素がルーシィの鼓動を早めていた。
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