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「いらっしゃいませ」




超絶爽やか笑顔で迎えた褐色肌の金髪男。

見た目チャラ男に反して、性格良し、運動神経良し、料理も卒無くこなす完璧人間。然してその正体は…熱い想いを内に秘めたトリプルフェイス。

絶対に目を付けられてはならない人物トップ3には余裕で入る人物が、今目の前にいる。


正しくは、私を強引に引っ張って来た審神者ーー愛華さんを挟んで、だ。


頼もしい二振りはいない。

…助けてみっちゃん、さだちゃん…!



「こちらの席へどうぞ」




促されるままに、奥のテーブル席へ座る。

トリプルフェイスこと安室さんに熱烈な視線を向けながらケーキセットを注文する愛華さん。とりあえず私はアイスコーヒーを頼んだ。

テーブルを離れた安室さんの背中をガン見し続ける愛華さんに頭を抱えたくなる気持ちを抑えつつ、端末でいくつかのワードを検索する。これはちょっとした保険だ。




「安室さん、本当にカッコいいですねぇ!」




…担当さんに、パートナーとなる審神者さんについて聞いた瞬間、申し訳なさそうな表情を浮かべた理由がわかってしまった。

まぁ、挨拶をした時には、薄々嫌な予感はしていたのだけれども…




***




「愛華でーす!よろしくお願いしまーす!」

『なまえです。こちらこそ、よろしくお願いします』




頭を上げた先…愛華さんの後ろに控えている刀剣男士を見て、笑顔が崩れそうになった。…いや、もしかしたら少しばかり引き攣っているのかもしれない。



「私の刀剣男士の…


「三日月宗近だ」

「鶴丸国永だ。驚いたか?」



そりゃな!太刀二振りとか、超驚いたよ!確かに、太刀と短刀を推奨されただけで、絶対とは言われていない。だからって、わざわざ、よりにもよって!この二振りをチョイスするのか!



「もしかして、なまえさんの本丸にはいないんですか?」

『……いえ、二振りともいますが、今回の任務は留守を任せました』

「なぁんだ。そうなんですね」


……なぁんだ、とは?


『私の方は、こちらの二振りです』

「燭台切光忠だよ。よろしくね」

「俺は太鼓鐘貞宗だ!」

「光坊に貞坊の組み合わせとは、驚いたな!うちに貞坊はいないからなぁ…」

「二振りとも、よろしく頼む」

「なぁ主、任務に本格的に取り掛かるにはまだ時間があるだろう?任務の下見ついででいいんだ、貞坊達と《現地》を見てまわっても問題無いだろう?」



…え?



「はぁ?何で…」

「ものは相談なんだが…」

「……いいわ!こっちも自由に楽しむから、いってらっしゃい!」



渋る愛華さんに、何か耳打ちする鶴丸さん。何か余程いい事を言われたのか、直ぐ様鶴丸さんの提案を了承した。

あれれ〜、おかしいぞ〜?私の意見は〜?と、まだ見ぬ頭脳は大人な少年のセリフが過ぎった。



こうして、みっちゃん達は鶴丸さんに、私は愛華さんに引き摺られるようにして別れたのだった。


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