「女の千歳に襲われてん」




 まだ暑い
   夕暮れ時に









今日は猛暑日。遠くを見ると視界が歪んで見える程にとんでもなく暑い。
色めきだつ夏休みも関係なく、部活一筋は相変わらない。
そんな中での練習を終えた俺は部室で他の部員が去って行くのをベンチに寝そべって温かく見守っていた。

…というより、夕方になっても変わらない暑さに動きたくなかっただけなんだが。





「…白石、具合悪いとか?熱中症か?」
「何言うてん。お前の方がよっぽど暑苦しいわその鳥の巣」
「せめて、アフロって言うて」


白石はオサムちゃんからの命令で居残り。
「『今日の練習はたこ焼きが旨かった』ってなんやねん」とブツブツ呟きながら部誌のチェックをしている。あぁ犯人は金ちゃんたい。

暑さで動きたくないついでに、あくまでついでに白石の帰りを待っていた。
家に帰れば夕飯もあるけど、コンビニあたりでアイス食べたい。金ちゃんじゃないけど腹減った。
あぁそういやさっき帰ってった金ちゃんや謙也もそげんこと言い寄ったからかち合うかもしれんなー。
てか、さっきの…




「暑さや頭はともかく、さっきの発言は俺の聞き間違いか?」
「いや、女の千歳に襲われたんはホンマやで」
「…」

「千歳のくせになかなかのボインちゃんで、俺ヤバかったわ」

俺がボイン?確かにボインは好きたい。ばってん・・・んなバカな。ってか「くせ」って失礼な。


「あー、白石は美乳派じゃなかとかね」
「ん、形重視の美乳派て思うてんけど、あの弾力に顔埋まったら流石にオチたわ」
バイブル抱えとるやつでも堕ちる時はオチるんか。弾力て生々しい…。

「…揉んだとか?」
「いや、揉む前に襲われてん」
「襲うようなヤツにこの俺が見えるか」
「いくら下駄履いて風流な男に見せ掛けたところで、そのタッパと体力がありゃいくらでも襲えるやろ」
「ちょっ!!」


いくらなんでも…

確かにこの前金ちゃんが面白がって持ってきたゴムを財前が俺のテニスバックに忍ばせてて部活中にコートになんの拍子かに落ちて
「誰や神聖な部活に青春ならぬ性春を持ち込んだ変態は!!」とオサムちゃんに怒鳴られ大騒ぎになる一悶着あったけど…。


(ちなみに後に呼び出されて「程々にせいや」と言いながら使用済みナース物DVD押し付けられ、
白石と観賞会した後、可愛い後輩財前のバックに忍ばせてやった)
「なに本気で焦ってるん。夢の話に決まってるやろ」

「…デスヨネ」




呆れ顔でおもいっきしため息つく白石を横目に俺はこっそりため息。白石はたまにこうやって突拍子もないことを言う。
こんなやつだからこそ決め台詞の「絶頂」が生まれたんやろな。
大体「絶頂」て普通の中学坊主が使っていい言葉か?これだから最近の若いモンは「早熟」て言われるんよ。

突然食らったダメージを消化できずに悶々としている間に、白石は部誌のチェックを終え片付けまでもを終えていた。
部室の鍵までしっかり持って...、俺置いて帰られるんじゃなか?勘弁すったい、こんな暑いとこに一晩て。


そんなことを考えつつ白石を眺めていたら、四天宝寺のさわやか部長はあっさりと言い放ってくれた。






「まぁ俺はボインや美乳やなくとも、千歳が好きやで」



白石にはまったくかなわん。











以下、帰り道にて↓


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「しかしなぁ、んな夢みるなんて欲求不満じゃなかとか?」
「…………んなんじゃないわ」
「あぁあぁ赤こうなって。遠慮せずとも俺は期待に答える男たい」
「胸ひっつけて出直してこいや」





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