人身事故かなんかで電車が大幅に遅れた影響で、ニッチもサッチも動けない満員電車に押し込められる。目的地の終点まであと10分程度だが、前の電車の運行もズレているのか、電車は駅と駅の間で止まっていた。
「う、あ、マジやべーんだが」
「なに」
「おしっこしたい」
「グフッ」
 一緒に乗り合わせていた鷹兎(たかと)がコソコソと耳打ちしたから何かと思えば、おしっこて。
 思わず吹き出して周囲からの注目を浴びた。
「笑うなよ」
「だって……ふふ、おしっこ、て、おまえ……」
「あーもう、マジでやばい」
「そんな?」
「んぐっあ、あ、やばい、あ、」
 やばいやばい言うから、鷹兎が押さえていた腹部を指でちょんと押すと、俺の肩に頭を押し付けて呻いた。身体をぎゅっと強張らせて堪えている様子はちょっとエッチだ。
「ばか、出る」
 苦しそうに呻くから、さすさす摩るとそれはそれでやばいらしい。
「なー、ちんこ勃起するとおしっこ出ないらしいよ」
「は? なにそれ」
「漏れたらまずいもんな」
「あ、ばか、ばかっ」
 ジジジ、チャックを下ろしてちんこをトランクスから出させる。皮を被った先っちょを指の腹で撫でると、身体をビクつかせて小さく悲鳴を上げる。
「ほんと、あ、あ、」
「ごめんごめん、先っちょ触らないから」
「ん、ん、」
 声が抑えられないらしい鷹兎は、俺の胸に顔を押し当てて声を殺した。真っ赤になって震える身体、無防備に晒された頸に噛みつきたい。
 根元からじっとり擦り上げると、鷹兎は顔を上げて俺を見つめる。
 そんなに気持ちいい?
 そんな気持ちで見つめ返すと、また顔を埋めてしまった。けれどちんこは勃起してるから、しばらくはおしっこ漏らさないで済みそうだ。
「あ、あ、イくっ、イく」
「あはは、イっちゃダメでしょ」
「くっ、あ、はあ、あ、」
 イくイく言うから手を離すと肩を上げて息をする。もしかして目的忘れてる?
「ほら、おちんちん気持ちいいな。もうちょっと頑張ろうか」
 少し間を置いて、再び鷹兎のちんこを扱く。今度はさっきより早くイきそうだったから、手は離さず根元を指でキツく握った。
「あっっひい、ひいっ」
 そんなことを何回も繰り返す。何回寸止めしたんだろう?鷹兎が顔を押し付けているところは涙と涎でぐちょ濡れになっている。
「ほら、頑張れ頑張れ」
「も、やだイきたい」
「ダメだって」
「イくっ、あっ、イっ、イくっ」
「鷹兎」
 どびゅっ、どくっ、どくっ。
 俺の手の中で鷹兎が果てた。それから鷹兎は身体を震わせた。
「あ……あ……」
 気持ち良すぎたんだろう。
 鷹兎は俺を見つめて絶望と恍惚の混ざった顔をした。
 俺の手から溢れて、床を濡らす黄色いシミは止まることなく広がっていった……。

終わり


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