※無理矢理抜歯をします※

「ああ、コレはもう抜いた方がいいですね」
 金の髪の間から、怯えた瞳が見上げた。喧嘩したという高校生の彼はリクライニングの治療椅子に座り、大きな口を開けている。
 グラグラ揺れる前歯は抜けかけていて、彼も痛いだろうが、殴った方の手も相当な怪我を負っているだろう。
「麻酔するから我慢してね」
「えっ、ま、あっ、あ……」
 言った事を理解する前に、さっさと麻酔を打ってしまう。怖いのか、僕の目をじっと見つめた。その視線にゾクゾクと背筋を這い上がるものを感じる。
「うん、偉いね。あと二本入れるからね」
「あ……っあ、」
 舌が触れない様にヒクヒク震えている。いっぱいに広げた口は虫歯も無い。
 ああ、ほんと、理想の口。この前歯の形さえ良ければ、と、ずっと思っていたんだ。
「じゃあちょっと風かけるよ。大丈夫かな? じゃあ抜いちゃうね」
「ああっ、あっあ、あ、」
 ゴリッ、と硬い感触が、きっと彼の脳にも響いているだろう。
 麻酔がきちんと効いているから、痛いというわけでも無いだろうが、瞳は涙が今にも溢れそうだった。
 可愛い君の歯をひっこぬけるなんて、最早僕には快感だ。
「はい、抜けたよ」
 偉かったね、と頭を撫でると、安心したように身体から力が抜けた。そのままベルトを掴んで、彼の頭部を椅子に固定する。
 驚いて抵抗し始める頃には、彼の腕も固定され、暴れる足は太ももに乗ってしまえば問題ない。
「なんでっぬ、抜いたっのにやめろ、やぁっ、な、あっあっ」
「あと三本抜くから、頑張ってね」
「アアッ!! やっ、あ、あああああああ」
 穴の空いたところの、隣の歯に力をかける。腹の底からの叫び声に、歯を抜く手もご機嫌になった。
「はい、抜けたよ。あと二本だよ」
「ああああっあーーっあーーーっあああ!!!」
 大きく見開いた目はぼろぼろと涙をこぼす。二本目からは麻酔があまり効いていないから、痛みは一本目の比じゃない。
 叫び続ける力も無くなってきている。
「偉いね。次で終わりだからね」
「ああっあっ……っ、」
 最後は白目をむいて気絶してしまう。汗とよだれと涙まみれの顔をティッシュで拭うが、彼の下半身はそれどころではない程に濡れていた。
「痛かったね? よく頑張ったよ、偉いよ」
 言いながら彼の下半身を剥いて写真に撮った。萎えた性器の先からはまたおもらしをしている。
「止血するからこれ軽く噛んでてね」
 ガーゼを巻いたものを傷口にあてがい口を締めさせる。しばらくはまともに食事も出来ないだろう。
 彼は気絶したまま涙を零した。それを舐めとって、今日の治療は終了です。
続く


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