一緒の布団に入るのは、先にも後にもそれが最後だった。
呼吸で揺れて触れる背中の熱。
一言も交わすことなく、それ以上の熱を共有するでもなく。
ただ時間を過ごしただけ。

翌日目を覚ますと、そこにはもう誰もいない。
散々抱いてくれとせがんで。
それでも最後まで、手を出される事はなかった。

きっと気の迷いだから。

そう優しく諭す声が今でも頭の中に響く。
けれど、背中に触れた熱を、忘れられないんだ。
薄れて行く記憶の中で、全てが曖昧になっていくのに、あの熱だけは忘れられないんだ。

いつまでもいつまでも。

これが気の迷いだと言うなら、きっとずっと、あなたへ続く道を探して彷徨い続けるのでしょう。
あなたの熱で、僕はまだ眠れそうにない。

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