納期の前倒しされた仕事を終わらせるために徹夜して、始発で帰宅した時のこと。自宅マンション前のゴミ捨て場に、人が捨てられていた。
 酷い臭いと有様で、最初は死体かと思いギョッとした。しかし、よく見れば小さく呼吸をしている。
 全裸に剥かれ、手足、それから背中には何十もの殴打の跡が見られた。尻からは突起がはみ出しており、引き抜くとボールペン、マドラー、極太マッキーが出てくる。
 萎えて小さくなった性器と陰毛はライターで焼かれたらしく、皮膚が軽い火傷となっていた。
 悪臭の正体は、彼の身体に満遍なくかけられた小便だった。頭からつま先まで、丁寧に小便塗りにされている。
 あからさまなリンチの跡。犯人達は彼を捨てて逃げてしまったらしい。
 俺は着ていたコートを彼にかけ、抱き上げた。身長も体重もそれなりにあったが、複数人に襲われて抵抗も出来なかったのだろう。
 茶色の傷んだ髪、左耳のピアス。左頬が腫れているだけで、他に傷のない顔はどこかあどけない。
 じっくり見るのはここまでにして、風呂場で軽く汚れを落としてやり、今日はもう寝ることにした。

 かしゃかしゃ、かしゃかしゃ。
「ふ、うう、う、」
 金属の擦れる嫌な音と、小さい呻き声で目を覚ます。眼前の泣きそうな顔に、思わず笑みがこぼれた。
「おはよう、目覚めたんだね」
 昨日は結局、抱き上げて移動する際も風呂場で洗い流した際も、手首と足首をガーゼと包帯で巻いてそれぞれ手錠でベッドの四隅に拘束し、彼の腕枕を借りて俺が眠るまで、彼は目覚めることはなかった。
 俺が話しかけると、彼はビクッと震え、外せない手錠から逃れようともがいた。包帯で保護しておいたのは正解だった。そうでなければ、彼の手首足首は擦れて怪我していたかもしれない。
 そんな健気な彼の腕枕から少しずれ、彼の剥き出しの腋に目をやる。短い脇毛が生えていて、その毛並みに沿って舌を這わせた。
「あっ?!な、は、はあ、はあ、なんなんだよっ」
 くすぐったいのか、彼は稼動範囲内で逃れようと必死だった。二の腕を掴んで吸い付く、引き付けのような声を上げる。
 そのまま唇を寄せて、脇腹を下っていく。
「んっ、やめろ、気持ち悪い、変態野郎っ死ねっ、このっ、っく、うう、」
 腰を振って身を捩るさまは、活きの良い魚のようだった。まさに、まな板の鯉だ。
「この辺は痛みとかない?内出血していて気付かず死ぬこともある。殴られたのは手足だけ?」
 薄く四つに割れた腹筋を撫でながら聞くと、彼は目を逸らした。昨日どんな酷い目にあったのか、それを思い出したらしい。
「痛みは?」
「ぐっ、うう、やめろっ、」
 中々答えないので少しずつ圧迫していくと、痛みで眉を顰めた。恐らくじっと身を丸めて守っていたのだろう。手足、背中の痣がそれを物語っていた。
「こんなものが尻に刺さっていたんだけど」
 昨日引き抜いた極太マッキーをベッド横の机から取り、彼の目の前に差し出す。見開いた瞳はみるみる曇っていった。
「縁のあたりは切れていたけど、奥から出血もないようだし。きっと最後に突っ込まれたんだな。そうじゃなきゃ、それだけ殴られていたら腸を突き破っていたかもしれない」
 怯えて静かになった彼を確認して、机にマッキーを戻す。一緒に抜いたマドラーは、どうせなら尿道に挿れた方が良かったろうにな、そんな事を思った。
「辛い思いをしたんだろうね」
 昨日よりは腫れの引いた左頬を撫でる。それでもまだ熱が残っていた。
「安心しなよ。全部、忘れさせてあげるから」
 油断していた彼の顎を掴んで口を開かせ、舌の根に液体を垂らしつける。そのまま口を手のひらで覆うと、彼は噎せながらも液体を飲み込めたらしい。
 みるみる、頬から高揚して赤くなっていく。熱い耳たぶをそっと甘噛みすると、過ぎるくらいに身体を跳ねさせた。
 元々敏感なタチなのだろうが、薬でそれが益々顕著になっている。
 荒くなった息、触らずとも勃起する性器、欲望に濡れた瞳、高校生とは思えない程扇情的だった。

「そういえば名前も聞いていなかったね」
「ひっ、ううっ、う、」
 チリチリになった陰毛を綺麗に剃り上げ、剥き出しになった皮膚にクリームを塗っていく。メントールが入っており、スーッとするクリームが火傷の痕を和らげてくれるかもしれない。
「君のちんこ、皮被ってるんだね」
 俺は右手の指にたっぷりクリームを取って、左手で彼の皮を剥いてやる。顔を出した鮮やかな赤のそこに、クリームをグリグリと塗り込んであげた。
「ひ……っき、あああああっ、あ、っい、あつい、っい、あついっっっ」
 急に腰を突き上げて暴れて、危うく性器から手を放してしまうところだった。彼の足の付け根を膝で押さえつけて、性器をガッチリ握り直す。
「きっとこの後漏らすだろうから、先に栓をしておくよ」
 亀頭に、ステンレスで出来たキノコのようなプラグを当てがう。拡張もされてないけど、クリームで感覚がバカになっているから問題ないだろう。
 先端を回しながらネジ入れると、彼は吠えた。
「っっぎ、ああああああっっっ」
 ミチミチと拡げられた小さな穴がプラグを咥え込む様子は愛おしさすら感じた。そこにもう一度メントールのクリームを塗りこむと、ブンブン振って彼は泣いた。
「あついっあついあついあついあいいいい」
 はち切れそうなほど尻尾を振って喜ぶ犬みたいだ。熱い熱いと泣きながら、それでも萎えない彼の性器が、彼の悦びを物語っている。
「睾丸は、薬の吸収率がすごく良いんだってね」
 手にいっぱいのクリームを乗せ、パンパンになっている玉をそっと握り込む。
「きひっっ」
 もはや声も出ない衝撃に、彼はひたすら腰を振った。あまりに暴れるから、一旦手を放し、彼の腰に座って握り直す。
 コリコリといい手触りを楽しみながら転がすと、彼は腰を大きく震わす事があった。プラグで塞がれていてわからないが、恐らくはイっているのだろう。
 ご褒美に強く握りしめる。
「ひぎいっい、いっ……」
 随分良さそうな声で喘ぐから、もっと悦ばしてあげたくなる。俺は一度彼の上から退いて、ローターを四つ手に持ち戻る。
 まずは陰嚢を上下から挟むように二つ、次に裏筋に一つ、最後に先端のプラグに当てがうように一つ、それぞれガムテープで固定した。まるで性器のオバケのような有様に少し笑ってしまう。
 俺は彼の両手の手錠を外し、彼の身体を起こす。暴れるほど力も入らないのか、くてんと寄りかかってくるのはなんとも言えない。
 彼の両腕を背中側で拘束し直し、ローターのスイッチを二個ずつ持たせる。
「好きなだけ気持ちよくなっていいから」
 試しに俺が、一つのスイッチを入れてあげる。
「ひいいいっんんん」
 仰け反って腕を下敷きになるのも構わず、腰を振って声をあげる。どれが動いたのかわからないが、彼は悦んでくれたようだ。
 足の錠も外して膝をつかせ、上半身をベッドに横たえさせる。四つ這いの崩れたような形だ。
 晒された尻の穴を眺めるため後ろに回り、一旦ローターのスイッチを切る。彼の指を触って、声をかけてあげた。
「自分で色々試してごらん」
 言うや否や、かちんと一つスイッチが入る。ヒイヒイ声を上げるが、それは目当てではなかったのか次のスイッチも入れた。かちん。
「あひいっんんんあ、っあああ」
 ガクガクと腰を振って、ガムテープ巻きの性器をベッドに擦り付ける。どうやら陰嚢を挟む二つが動いているようだった。
「これはどうかな?」
 かちん。スイッチを入れる。
「んああああっあっっあ、っくぁああああ」
 ビクビクと忙しなくイっているらしい。腰を浮かせて、今度はどうにかして快感から逃れようとしては、腰が抜けてべちゃりと崩れ、性器を潰して喜んでいる。
 プラグに付けたローターのスイッチが入ったようで、尿道に与えられた強い刺激に耐えられないらしい。なんとかスイッチを切ろうとしているが、どれが当たりでどれがハズレかわからないらしい。スイッチを入れては切り、切っては入れ、その度泣いて悦んでいる。
「実はそれ、3段階まで振動の強さが選べてね。もっと気持ち良くなれるわけだ」
 かちん、かちんかちんかちん。
 ついでだから全部のスイッチを最大にしてあげた。
「っ……っ……」
 腰が浮いたり下がったり、頭をベッドに擦り付け、まるで祈りの儀式のようだ。
「気持ち良さそうだね」

 泣きながら悦んでいる様子に満足しながら、彼の尻を上げさせる。小さな窄まりは赤く腫れて痛々しい。
「ここには」
 尻肉を割り開き、舌をそっと這わせる。性器への刺激が強すぎて、こんなささやかなものでは彼も気付かないようだ。
「マッキーやボールペン以外にはなにも入れられなかったのかな」
 あーあーと喘ぐ彼には聞こえていないのが明白だった。舌を捩じ込むと無意識に締め付けてくる穴が愛おしい。
 じゅぶじゅぶと音を立てて啜ると、流石に気付いたようだ。
「ひっ……うっあ、ああっんん、やだっあ、ああ、んんっあ、ん、ん、」
 尻に力を入れて逃げようとするので、一旦口を離した。横に振って嫌がる尻を叩こうかと思ったが、今回はとびきり優しくしてあげたい。
 ベッド横の机に置いておいた、強力な媚薬効果の入ったローションボトルの口を穴にあてがう。
「しばらくゆるゆるのどろどろになるけど、薬の効果だから心配しなくていいよ。薬が切れたら治るからね」
 ぶじゅぶじゅじゅ、ローションを一気に注ぎ込むと冷たかったのか、彼はぎゅっと身を屈めた。そして即座に効果が現れる。
「……っは、はっ、あ、っあ、っひや、だ、ああっ、あっ、あああ」
 それは可愛らしい姿だった。
 尻を掲げ、緩く前後に動かす。カクカクと腰を振り、なんとか快感を得ようと必死だった。
 穴からは白い体液を零し、キュッと窄めたり開いたりして誘うようだった。中が疼いて仕方ないのだろう。さっきまで性器につけたローターで夢中だったのに、今では尻の穴が気になってしかないようだった。
 彼は間違いなく、今、尻を犯して欲しくて仕方ない。
「ひっん、あっ、ああ、っあ、」
 欲しくてたまらない彼を眺めているのは楽しかった。赤く色付いた内壁をひくひく震わせ、悶えている。性器をどれだけベッドに擦り付けて気を紛らわそうとも、足りない。
 まだまともに開発された事もないくせに、尻を犯されたくて仕方ない彼は、よだれを垂らしながら刺激を待ち望んだ。
 そんな彼の尻にもう一つ薬を与える。それは市販の薬で、3個いっぺんに流し込んだ。
「ふううう」
 新たな刺激に身を震わせる彼には、ほくそ笑むしかない。
「今入れたの、なんだと思う?」
 俺はコンドームの先端に小さい穴を開け、自身に被せながら彼に聞いた。聞こえているのかいないのか、彼は首を振るだけだった。
「浣腸。3つ入れたからすぐ効くよ。わかる?君はこれから一気に腹を下すわけ。でも君は尻の中をぐちゃぐちゃにかき回して欲しいとも思っている」
 汗で濡れた頭を撫でると、びくりと跳ねる。そんな些細な刺激すら、彼には快感になっている。
「欲しいだろ?腹ん中、かき回して欲しくないか?」
「ひんっっ」
 浅く息衝く縁を指でなぞる。もう浣腸は効いていて、とてつもない便意がこれから彼を襲うはずだ。
 その一方で、まだ触れられてもいないナカは、どろどろと溶けて、かき回されるのを待っている。
「ああ、もう、俺が待てない」
「ひ……ううっあああああっあっあああ、っあー、」
 焦らして焦らして欲しがるまで待とうと思ったけれど、我慢できなかった。自身をあてがうと、自ら飲み込むように、彼の穴は俺をするすると受け入れた。
 熱く胎動する中は、きつく締め付けて奥へ奥へと誘う。一旦突き当たったところから、引き抜き突き上げるとより深いとこまで進んでいく。
 腕を掴んで身体を起こさせ、膝立ちの彼を後ろから何度も穿った。浣腸で降りてきた便が体内でぐちゃぐちゃにかき回され、彼は苦しそうに喘いだ。
「ひいっ、い、あーーっ、くううっ、うっ、うう、うあっ……あ、ああああ」
 腹に手を当てるとぎゅるぎゅると蠢いているのがわかる。それを容赦なく犯すと、一際強く締め付けて、中が震えた。
「んあっ……あっ……ああっ、」
 自身を叩きつけるたびに声を上げるのが愛おしい。もっと強く、深くまで犯して、泣いて善がるほど愛してあげたい。
「ひいっ……んんっ、んっ、んんぐっ、う、う、うおええええっげほっお、ぐっ」
 圧迫しすぎたのか、彼はびたびたと吐き戻した。それでも律動は止められない。項垂れて見えた白いうなじに噛み付くと、彼はいよいよ泣き出す。
「ひっ……うっ、ううっ、え、っくん、んっ、んんっ」
「かわいい……」
「っ……ん、ん、んん、」
 彼の強張っていた身体から力が抜けて、俺の膝に跨り身体を預けてくる。腰を抱いて突き上げを繰り返すと、遂にはくてんと頭を俺の肩に乗せ、曖昧な視線で見つめてきた。
 晒された無防備な喉が、小さな呼吸で上下する。開いて閉じれない口から溢れるよだれと、快感で泣き濡れた涙が一緒くたに落ちていった。
「出したい?」
 聞けばうんうんと頷くだけ。
「じゃあ、あと一回だけ」
 ぐっと抱き寄せて深くで果てれば、彼は一瞬呻いて目をつぶった。

 腕の拘束を外し、風呂場へ移動する。シャワーの前に二人で立ち、彼の性器を塞ぐプラグを引き抜く。溜まった精子がとろとろと零れ落ちた。
「練乳みたい」
「んん……」
 先端を撫でて指で精液を掬い取る。彼の唇にそれをねじ込むと、苦そうに顔を顰めた。
「やっぱりあまくなかった?」
 そのまま顎を掴んで唇を重ねる。戸惑った舌を追いかけて、彼の口内をくすぐる。俺の腕に掴まって、なんとか立っているようだった。
「意外とわるくないね?」
 唇を離してそう聞くと、彼は答えないで顔を逸らした。頬が赤く上気して、息も荒い。そんな態度から見るに、やはり悪くはないようだ。
 それに満足した俺は、シャワーを捻る。一瞬冷たい水が、じきに温かくなって二人に降り注ぐ。
 彼の濡れた姿は酷くいやらしく見えた。若い肌は水を弾いて、玉になって落ちていく。惜しげも無く晒された傷だらけの身体に釘付けになった。
 そこに、俺も傷跡を残したい。
 シャワーのかかる肩に顔を寄せ、半分溺れながら歯を立てる。一瞬ヒクリと反応して、彼の手が俺の頭を撫でた。優しく子守唄でも歌う、母のような手つきで。
「そういえば、名前、聞いてなかったね」
 彼を抱くようにして腕を回し、彼の背中側でシャワーヘッドを外す。まとまった湯がどぽどぽ落ちていくだけなので、彼の背中に這わせた。
 それはゆっくり下へ移動し、散々貫いた穴へ。
 シャワーを持つのは右手、左手人差し指と中指を彼の穴に当てがう。ピースサインをゆっくり広げていくように、彼の穴を横へ開く。
 彼の中には彼の汚物と、俺の欲望がないまぜになったまま出せないでいた。
「名前、教えて」
 湯を注ぎながら、指を浅く抜き差しする。薬の効果は切れたが、まだ柔らかいそこをくぱっと開く。
「ふっ……あ……」
 甘く喘いだ彼の吐息が耳にかかった。ホースの先を差し込んでいくと、それに合わせるように上擦っていく声が心地良い。
「……名前も……」
 喘ぎを押し殺しながら彼が言った。
「全部……っん、忘れさせて」
 これまでの、昨日までの全部を忘れたいと懇願する。俺の肩に腕を回してしがみつき、しがみつく彼に愛おしさを感じた。
「いいよ……全部忘れさせてあげる」
「ひっぐ、ぁあああっっ」
 湯を強めて奥まで突き上げ、一気にホースを引き抜く。彼は膝をガクガク震わせながら汚物を撒き散らした。
「ひん……ああ、はあ、はあ、」
 喘いで息の整わない彼はどうやらイったらしい。俺の腹を白く汚した飛沫を指に取り、俺の自身に塗りつける。
 彼の左足を上げさせて抱え、穴に熱を押し当てた。
 彼のはあはあと荒い息が、期待と興奮を訴えてくる。
「君の全部を、俺にしてあげる」
「はっ……ぁあっ……ああああ」
 ゆっくりと挿入していく。柔らかく熱い穴も、俺にしがみつく彼の腕も、ぎゅうぎゅうと強く抱きついてきた。
「心も身体も、全部俺だけにしてあげる」
「んあぁっ……」
 彼は頷き、吐息を零す。これから始まる彼との事を考えると、熱は増すばかりだった。

終わり

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