好きで好きでたまらないから、縛り付けて押し倒して何度も穿った。何度も、何度も、何度も
 泣いて喚いて五月蝿かったのが静かになって、ああ、やっと俺の気持ちが分かってくれたかと、身体も心も繋がれたかと、そんな充足感に包まれた。
 性も根も尽き果てて、それでも俺の全部を受け止めてほしいから最後にはおしっこもしたりなんかして、俺のを引き抜くと白いの赤いの黄色いの、ちょっと汚いのそれら全部がどろどろに溶けて出てきた。
 さすがにこれは汚いなあ。それ以外は全部好きなんだけどなあ。ちょっと残念だなあ。
 そうやって、少し心が萎えたから、これ以上嫌いにならないように、俺は帰ることにした。
「悪い、俺、先に帰る。精液って腹下すらしいから、ここ、きれいにした方がいいよ。じゃあ、また明日」
 汚れたそこの少し上、まだきれいな肌のところを撫でて教えてあげる。そういえば両手を縛りっぱなしのネクタイを解いてあげると、白い肌は真っ赤になっていた。きれいだから、二度と消えないように何度でも縛ってあげよう。
 そうして俺はその場を後にした。
 ああ、今日はなんて素敵な日だろう。好きな人と愛しあえたんだ、今後一生忘れられないくらい大切な日になるぞ。

 次の日、彼は教室に現れなかった。昨日は初めてなのに長いことやってしまったから、疲れが取れ切れなかったのかもしれない。あるいは俺の精液を上手く掻き出せなくて腹を下してしまったのかもしれない。一人じゃ心細いだろうから、帰りに家に寄ってあげよう。
 昨日の今日だけど、また一つになりたい。何時間も繋がって、俺の形を忘れられないくらい刻み付けてあげたい。俺のを模したディルドでも作って、朝も夜も寝るときも学校でも食事するときも風呂のときもずっと、ずっと俺のことを感じられるようにしてあげようか。
 24時間、一時も欠かさず俺のことだけ考えてくれればいい。そうだ、そうしよう。家に帰ったら早速造り方を調べて取り掛かろう。
 色々考えれば考えるほど気分が上がっていった。

 放課後、彼の家に行くとチャイムを押しても反応がなかった。親はどちらも出張してるから、彼しかいないのは確かだ。もしかしたら、腹痛が辛くて出てこられないのかもしれない。トイレや床で力尽きているなんてこともあり得る。俺は少し焦りながら、作っておいた合鍵で鍵を開けて中に入る。
「受流(ウケル)?大丈夫?」
 電気はどこも消えていて、俺は一直線に彼の部屋に向かった。廊下にもトイレにも、他の部屋にはいない。
「ああ、よかった、ここにいたんだ」
 彼の部屋の扉を開くと、そこにも電気は点いていなかった。俺は壁のスイッチを押して部屋の電気を点ける。ベッドの上、掛け布団に包まって、彼は壁を背もたれに座っている。
「心配したんだぜ。学校にも来ないし。やっぱり腹下した?」
 ベッドに乗って彼に手を伸ばすと、彼はふるふると首を横に振る。
「平気だったんだ。じゃあなんで学校休んでんだよ。言ったよな、また明日って。平気なら、来いよ」
 俺は少し腹が立った。こんなに心配したのに、仮病で休むなんて。学校に来たらその時間も二人で過ごせたのに。俺は一時だって離れたくないのに、彼はそれを分かっていないんだ。
 残念だ。昨日は一つになれたと思ったのに。
 今日の空白の時間を少しでも埋めないと。そう思って彼に手を伸ばすと、そこでようやく彼が口を開いた。
「さ、わんなよ……なんなんだよ、なんで、なんでこんな……っ」
 言っている意味がわからなかったけれど、怯えているようだから抱きしめて落ち着かせようとした。すると俺の手が弾かれて、彼は後ずさる。
「やめろ、やめろ、なんでこんなことすんだよ、なんで、昨日、あんなこと」
 ああ、だめだ、わかってない。全然わかってない。
「受流……」
 逃げようとするから、首と腕を掴んで壁に押さえつける。苦しそうにもがく顔も可愛くて仕方ない。
 俺の気持ちをわかっていないなんて悲しくて残念だけど、その気持ちとは裏腹にむらむらと性欲は高まっていった。
「わかんないなら、わかるまで、教えてやらないとな」
 顔を真っ赤にしているのを見て、気道を圧迫していたことに気付いた。すぐ解放してあげると咳き込む。
 そんなことより、そうだ。昨日はキスしてあげなかったし、だから伝わらなかったのかもしれない。いいよ、じゃあ今日はキスしながら、わかるまで、何度でも、何時間でも、何日でも続けよう。
 ちゃんと俺の気持ちがわかるまで、学校も休んだって構わない。一生、死ぬまで二人でいるんだもの、最初にちゃんと理解できるまで、教えてあげなくちゃ。
 こんなに好きだから、セックスするんだ。それがわからないわけなんて、ない。


終わり

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