残暑のアバンチュールの続編です
「これ塗ってくれるか? 市鮠(いちはや)」
「い〜よ〜。でもなあ、何が悲しくて男の背中にローションなんか塗りたくんなきゃなんねーのよ……」
寝そべる喜八(きはち)が市鮠に日焼けローションを手渡す。市鮠はぼやきながらも、手にヌチャヌチャとローションを取り準備万端だ。
「そりゃお前が女引っ掛けんの失敗したからだろ」
「そうだけどさあ」
「んひゃっ」
「あっはは、間抜けな声」
「ばか、一声かけろよ」
「はいはい」
「んっ、お前」
ケラケラ笑いながら喜八の背中を撫で回す。綺麗に焼けていた。呼吸のたびに上下する肩甲骨に手を当てて、そこから腰にかけて滑らかな手触りが気持ちよかった。
「日焼け痕くっきりじゃん」
「んん、中途半端にずらすなよ」
市鮠にパンツをずらされ半ケツにされた喜八が声をあげたが無視されてしまう。まあいいか、と目をつぶったが、直後に見開く事となる。
「んっなにしてんだ」
上体を起こして振り向けば、市鮠は喜八の尻を右手と左手でモニモニと揉んでいた。
「今気づいたんだけど、喜八のケツ、かなり良い形してるよな。あっ、キュってなった」
「やめろ、ばか」
「良いじゃん。喜八のお尻凝ってるからマッサージ」
「セクハラだ、もうやめろ」
「わかったよ、足にも塗るからちゃんと寝て」
喜八が手を払いのけようとするとさすがに揉むのをやめた。けれども疑惑は晴れないのでジロリと睨みつける。市鮠はにこにこと笑っている。いつもそうだ。
はあ、とため息をついて前に向き直る喜八。もうやめ、としなかったのはなんとなく市鮠の手つきが気持ちよかったというのもある。
普段サッカーサークルで仲間のマッサージも引き受けているというから元からうまいのだろう。
足を触る手つきはお手の物といった感じだ。
「……喜八、ごめん」
「は?」
「我慢できねえ」
ぐにっ、半ケツにされたままだった尻とパンツとの間に何かが押し付けられた。
「うおおおおっ?!」
「んだようるせーな」
「やっっっべちんこ焼ける、イッッッテェ」
「はあ?! うわお前、ばか」
熱い熱いと言いながら、グニグニとした何かは離れていかない。ちんこ?今ちんこって言ったか?
喜八が再び振り返ると、自分の尻肉に己の欲棒(隠語)を挟んでいる市鮠。
「はあっ、熱い、やばい、いてえ」
「痛いならやめろ、てかやめろっ」
「痛いんだけど擦ってないと、やばいんだって」
「おっ前、なにやってるのかわかってんのか」
「あーやばい、気持ちー」
払いのけたいのに、市鮠の太ももが喜八の足をがっちり挟んでいて、振り返りながら悪態をつくしかできなかった。
「喜八もメントールちんこ味わえよ」
「うあっ?! ぐっひ、やめっ、あああっ」
急に体を起こされ、二人膝立ちになって後ろからちんこを握られていた。その手には日焼けローション(メントール配合)がたっぷりと盛られている。
「ひゃあああっなんっ、あっあああ」
「ふはは、素股になっちゃった」
「やっやだっちんちん、ちんちん熱いっ」
「ゴシゴシした方が気持ちいいだろ?」
「んんんっあっ、うあああっあめ、やらっやあっあ」
ビュルルルル。
「うわやべえっエロい」
ビュくっ、ビュクビュル。
喜八が耐えきれず放尿、それをエロいと優良誤認した市鮠が射精する。
「ふああっ、あー、あー……」
「んはあ、気持ちー……」
ドサッ、バシャッ。
床に敷いておいたタオルでは圧倒的に足りず、びしゃびしゃになっているそこに二人で倒れこむ。
喜八は尿道にまで入り込んだローションのせいでまだヒリヒリと痛んで気になっていたが、脱力した市鮠を押しのける力は残っていなかった。
「後で覚えてろよ……」
「こわぁ……」
ガラガラガラ。
「ただいまーってなんかクッセェ」
「うわお前らなにしてんの? セックス?」
「「っ!!」」
買い出しから帰ってきた小鉤(こはぜ)と六谷(むつたに)に言い訳のしようもない瞬間を目撃された二人。
咄嗟に後ろ蹴りして立ち上がった喜八、ナニを蹴られて悶絶する市鮠。その光景に小鉤と六谷はデジャビュを覚えた。
終わり
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