※腐女子が動画を見ている風の文章になっています。大丈夫な方のみどうぞ※


 日課の動画巡りをしていると、青×春チャンネルに新着動画が来ていることに気付いた。
 「バレンタインのチョコ貰い過ぎてる春にお仕置きハバネロおちんちん」という、よくわからないけどやばそうなにおいがプンプンする動画タイトルに、けしからんもっとやれと即座に再生。
 コンテンツ共有サイト・ラブチューンには日夜「愛」を象った様々なコンテンツな投稿されていた。イラストや小説、音楽、そして一番多いのが動画投稿だった。
 その中でも青×春チャンネルは登録者数百万人にも迫る勢いだ。初投稿された動画は、幼なじみが急に茶髪にしたからお仕置きに利尿剤を飲ませるというもので、やばさしかない。
 お仕置き多めの優等生×不良はやはり滾るものがあるわけで、バレンタインネタに絡んだお仕置き動画という公式の供給に歓喜する。

「それで、春(しゅん)はいくつチョコ貰った?」
「んだよ、これ外せよ……」
 動画が始まるとベッドの上に座る青(あお)くん、そしてその膝に身体を預けてご開帳している春くんが唐突に現れた。
 シャツにスラックスというラフな格好の青くんと、真っ赤なゆるパーカーに下半身裸の春くんという絵面は脳内HDDに即RECした。
「全部で十三個だよね。直接貰ったのが七個、下駄箱や机に入ってたのが五個、お母さんから一個」
「はっ!? なんでそんな事まで知ってんだよ」
 もぞもぞ動いて声を上げた春くんが後ろ手に縛られている事に気付く。足はぴたりと閉じて恥じらいを感じるけれど、カメラ位置が足側のローアングルからなので全てが丸見えだった。なんてエッチなんだ。
「まあそのうち三個は俺からなんだけどね」
「!? っ……!?」
 まさかの事実に言葉を失った春くんは青くんを見上げ、目を白黒させる。思い当たる節があるらしくて、そんな顔をしていた。
「っ、お前だって貰ってたろ」
 反撃と言わんばかりに春くんが言う。というか君たちやっぱりモテるんですね。青くんはイケメン優等生みたいだし、春くんは不良っぽくしてるけど実際のところ可愛いし。甘酸っぱい青春に、けれど二人はそれをネタにこんな動画を作ってるわけで、なんとなく興奮せざるを得ない。
「俺は好きな子がいるからってちゃんと全部断ったよ?」
 にこっと笑っていう青くんに、春くんはカッと赤くなった。すごいだろ、この二人付き合ってないんだぜ……。
 動画には愛の方向性をカテゴリ分けしてタグロックする事が出来る。青×春チャンネルの動画は「友愛」にカテゴライズされているが、どう見ても嘘ですよね。
「だから、バレンタインチョコ貰い過ぎの春にお仕置きします」
「はっ!? なんだよお仕置きって……! その内三個はお前からなんだろ!?」
「ちゃんと俺からの三個と、春のお母さんからの分、差し引いて九個分のお仕置きにしてあげるから」
「そんなっん、な、なんだよ、なんだよそれ」
 青くんが薄い透明の手袋をすると、手にシュッシュとスプレーした。それを手全体に馴染むよう擦り合わせる。
「美味しいアラビアータ作ったから、あとで一緒に食べようね」
 それとこれとなんの関わりがあるのか、視聴者も春くんもわかっていない事だろう。頭にはてなを浮かべる春くんの、ぴったり閉じた腿の裏から大事なところに、青くんの手は無情にも伸ばされる。
「やっめろ、さわんな、うあっ、なに、あ、あ」
 腰を揺すって逃げようとする春くんの、揺れる性器をしっかりと握り込む青くん。竿のところを両手で包み込むだけで、特になにかするわけでもない。
 何をされるのかわからない春くんは困惑して怯えたが、思ったより何もされなくて少し落ち着いた。
「あっ!? ぐあっ、ひっっあっあづいっ!! ぐっあ、あああっっ」
 突然ビクンと跳ねて股を擦り合わせ、耐えられないと言うように足を開き腰を前後させる。遅効性で効果が現れたらしい。
「痛いっちんこっあああ!! なんだよっあーーー痛い痛い痛い痛い!!! ぐっ、う、ひああああ」
 青くんが一旦手を離すと、春くんはブリッジして悶えた。卑猥なポーズで踊り出す春くんの萎えたままの性器を、青くんは再び握った。
 手の力が強いとかそういうわけではないらしい。ひーひー言いながら悶える春くんを、青くんは慈母のような微笑みで見つめた。
「ちんちん辛いでしょう? さっきのスプレー、ハバネロのエキスが入っててね。辛みって刺激の事なんだよね。だから春のちんちん、今めちゃくちゃ辛くなってる」
「痛えっあああなんだよっあーー痛いっあああひぃいっ」
「痛くて泣いちゃった? 春可愛い」
「んぶうんんんっ」
 青くんは、春くんの性器を握ったまま上から覆い被さって無理矢理キスをした。
 愛の力で痛みが治るわけではないから、春くんはキスされながら悶えている。痛みでお尻の穴までヒクヒクと反応しているのがとても可愛らしかった。
「ひんっ……えうっ、痛い、いたい……」
 最初より少しだけ落ち着いたのか、えぐえぐと泣き声を上げながら春くんが言った。茶髪の不良が幼稚化している様に感情が込み上げる。
「もう少しだけね」
「うっ……やだあ」
 青くんは手を離してもう一度例のスプレーを手に吹きかけた。いっそそのスプレーを春くんの性器に直接吹きかけたらいいのに、わざわざ手に付けて塗りたくるのは真性のどSだからですよね、ほんと、青くんのそういうところが最高だと思います。
「おちんちんの先に塗ったらどうなっちゃうかな?」
「ヒッ……やだっ、あ、やめろ! やめろやめっあ! ああっっっっ」
 ビシュッ……びゅるっびゅるびゅる……。
「ああああっぐうあっあ、」
 宣言通り先端の無防備なところに手のひらを擦り付ける青くん。
 春くんは程なくして潮のようなものを噴き出してから、盛大におしっこを漏らす。
 その強烈な映像に生唾を呑み込み、唖然として見つめるしかなかった。
 相変わらず春くんは泣き叫び、青くんは容赦なく先端の穴付近や竿、カリ首の周りを撫で回していく。
 すごく痛くて辛いんだろう。それは重々伝わるのに、涙を零し放尿する春くんの姿に嗜虐的な感情が煽られた。
 ぐずぐずに虐められる春くんに興奮していると、青くんは手にはめていた手袋を外してベッドの下に捨てる。それから涙と鼻水に塗れた春くんの口にキスをする。
「く……ん……ん、」
 とても甘くて長いキスにハッとする。
 視聴者の「もっと虐められる春くんが見たい」とエスカレートする感情をよそ目に、与えたのはキスだ。
 春くんも痛みが引いたわけでは無いのに、心なしか気持ち良さそうに見えた。零れた声は甘える仔犬みたいだし、唇が離れそうになると舌を伸ばして追いかけた。
 それに答える青くんの優しい笑みにキュンとする。
「お仕置きは終わり」
 青くんはそう言うと、緑色の瓶からトロッとした液体を春くんの性器に垂らした。よく見るとその瓶はオリーブオイルと書かれていて、垂れ落ちる薄黄緑のそれは確かにオリーブオイルらしい。
 一瞬ビクッと怯える春くんに、なだめるようにまたキスをして、液体をぬるぬると馴染ませていく。それは確かに効いてるようで、痛みで強張っていた春くんの身体から力が抜けていくのが手に取るようにわかった。
「気持ちいい?」
「ん……」
 気付けばお仕置き動画から甘々イチャラブ動画に移行していた。
 一体なにを見せられていたんだろうか。わかった事と言えば、ハバネロにはオリーブオイルが効く、という事くらい。
 動画では青くんにちゅっちゅされながら、春くんがイきそうになっている。
「もう来年から俺以外の人にチョコ貰わない?」
「もらわない」
「約束だよ」
「んっ、イくっ……ぅ……」
 ビクビクと果てたトロ顔の春くんにキスをして、青くんが微笑む。仄暗い闇の底を見た気がして背筋が震えた。
 その後、一緒にアラビアータを辛い辛いと言いながら一緒に食べる平和なおまけ動画が流れて終わった。食べる分には、春くんは辛いものは大丈夫らしい。
 はあ、と余韻に浸ってから再生ボタンを押し、イラストアプリを開いた。
 この込み上げる感情、今すぐ形にしてアウトプットしなくては……!

終わり


戻る