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 踏み付けた足の下で、二歹の心臓がドクドクと脈打っている。酷くされるのが好きと言うからマゾヒストと罵ったけれど、痛みで勃起するわけでもない。
 その意味にこの人の過去が絡んでいるのだろうと言うことが想像できた。
 古佐治はソファから立ち、ゆっくりと足の位置を変えていく。柔らかい腹筋を圧していくと、ハッハッと短い呼吸をした。二歹の体温で、足の裏がじんわり温まっていく。
「ううううっ」
 足に体重をかけると、よだれを撒き散らしながら呻いた。
「お腹踏まれるのは気持ち良くないですか」
 古佐治は二歹を踏むのをやめ、二歹の足を軽く蹴る。
「だったら自分の股開いて、俺におねだりしてみてくださいよ」
 目の前にいる、プライドなどどこにもない自分より10も大人の人間が、自ら足を持って股を開くのを静かに見つめた。
「酷く……してください……」
 血液に冷水が流れ込んだような感覚、二歹に対する興味が消え失せる。
 自分でやれと言ったが、こんなのは望んでいなかった。じゃあどうすればよかったのか、それは古佐治にもわからない。
「本当におねだりするなんて、どうかしてますよ」
 冷めた目で見れば、泣きそうな顔をする。酷くして欲しかったんだから、喜べよ。
 古佐治は二歹に触れることもなく、部屋から出て行った。


 ベッドに横たわり、解消されないもやもやに腹が立つ。優しいって言ったり、酷くしろと言ったり、なんなんだ。あいつの顔で言うから余計腹が立つ。
 ベッドを叩いて溜まった怒りをぶつけても、弾かれるだけだった。

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