「ママ〜ハズキあれほしい〜」
『ん〜?え、、、?』
赤い服と白い髭
夕飯の買い物にどうしてもついて行く!と言って聞かなかった理由が今わかった
目をキラキラさせてショーウィンドウに張り付くハズキ
「ね?!いいでしょ?!」
期待に満ちた笑顔で振り返るが私の渋った顔を見て、ダメなの?と何かを悟る
『ハズキにはまだ早すぎるんじゃない?』
私の渋る理由はただ一つ
ハズキの欲しがるものはなんとクナイ、手裏剣、手裏剣ポーチ3点セットだ
もうすぐ5歳だからといっても流石に早すぎる気がする
早く忍びになりたくて仕方ないハズキ
息子の夢は応援してやりたいが下手をしたら人を傷つけるかもしれない道具を4歳そこらの子どもに持たせるわけにはいかない
家には幼いイチカやサラダもいるのだ
「つよい忍になるんだもん!!はやくしゅぎょうしなきゃ!!」
やる気は認めるが何事にも適齢期というものがあるのだ、さすがにまだ刃物は持たせられない。この場をどう切り抜けようかと頭をひねっているとあることを思い出した
『そうだ!ハズキ!サンタさんにお願いしたら?!』
「サンタさん?もうすぐサンタさんくるの?」
『うん!もうすぐクリスマスだからお願いしたらどう?』
じゃあそうする!!となんとか機嫌を損ねずにその場を切り抜けることができた
帰って今日の出来事をイタチに伝えると
「そうか、ハズキはそこまで忍になりたかったのか」
口元が緩みどこか嬉しそうなイタチ
『でも本物のクナイなんて早いよね?』
「オレ達が管理して使うときはどちらかが見ていればいいが、いつもそういう訳にはいかないだろうからな」
『でしょ?だからとりあえずサンタさんにお願いするように言ってみた!』
「ミツバ、サンタさんが本物を持ってきたらどうする」
『サンタさんはそこらへんわかってるでしょ〜?きっとこの話もどこかで聞いてると思うし?』
ね?と念を押すように言うミツバ
この問題、サンタさんに押し付けたな。
はぁ、今年はうちは家のサンタさんは大変だ、、、
翌日、ハズキにサンタさんに何をお願いするのか聞いてみた
「クナイと手裏剣!!」
やはりそうきたか、、、
「ハズキにはまだ早いんじゃないのか?」
「でもね!はやくしゅぎょうしてつよーい忍になるんだ!サスケにいにがしゅりけんじゅつおしえてくれるって!!」
サスケ、お前か。ハズキに余計なことを吹き込んだのは。あとで覚えていろ
「そうか、でも本物は危ないかもな」
「なんでー?」
「いいかハズキ、手裏剣やクナイはカッコいいが間違った使い方をしてしまえば人を傷つけてしまうかもしれないんだ」
「ち、でる?」
「あぁ、痛いしもちろん血も出る」
「そっか、こわいものなんだ、、、」
しゅん、と影が落ちるハズキ
「だがな、正しい使い方を覚えれば何も恐くない。自分の身を護ることができるしハズキの大切な人も護ることができるんだぞ?」
「ほんと?!」
「あぁ、だからまずは練習から始めるってのはどうだ」
「うん!いっぱいれんしゅうしてママとイチカまもるんだ!」
「そうだな!パパとたくさん練習しよう」
そして世界中の子供達が待ちに待った朝がやってきた
「パパーー!ママーー!みてみて!サンタさんがもってきてくれた!!」
いつもより2時間も早起きのハズキ
走って居間に飛び込んできたハズキの腕には子ども用のクナイ、手裏剣、手裏剣ポーチセットが大事そうに抱えられていた
『ハズキ!よかったね!』
「ハズキがいい子にしてたからだな!パパと練習しような!」
「うんっ!!」
とても嬉しそうなハズキを優しく見守るイタチ
『サンタさん、今年は頑張ったみたいだね〜?』
ニヤついているミツバ
「フッ、、、あぁ、そうみたいだな」
嬉しそうにサスケやサクラじいじ、ばあばに見せるハズキ
『ハズキ、嬉しそうでよかった』
「そうだな」
と言いつつ実はハズキ以上に喜んでいる自分がいた
こんなにも早く手裏剣術を教え、息子と一緒に修行ができる日がくるとはな
楽しみで仕方ないのはオレの方だ
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