ーコンコン



『カカシ先輩ー!』


育児休暇中のため数年ぶりに火影の部屋の扉を開ける


「ん?ミツバ?珍しいじゃない、どーしたの?」



『カカシ先輩来週の日曜日って空いてますか?』



「おっ、何?デートの誘い?ミツバのためなら開けておこうかな」


『デートと言うか、みんなで飲み会しようかなー!と!』


「若いねー、なに、オレも行っていいの?」


当たり前だ、あなたが来なければ始まらい


『はい!是非!お仕事お忙しいでしょうけどよろしくお願いします!!』


「んー、りょうかい。楽しみにしとくよ」







里と火影











ーとある居酒屋



「あぁ〜緊張してきたってばよ〜」

席を立ったり座ったりして落ち着かない様子のナルト
個室には三人の盛り上げ役がカカシと四人の女性を待っていた


「お前がソワソワしてどうするウスラトンカチ」



「なんだとサスケェー!!イタチ〜カカシ先生ってば本当に来んのかな〜?なんか心配になってきたってばよ…」



「ミツバが集合時間より5時間早く伝えている、心配するな」


流石ミツバねぇちゃん!なら安心だな!と言いやっと席に落ち着いたナルト

すると


「よっ!って、あれ?」


呑気に片手を上げて登場した今日の主役


「カカシ先生!良かったってばよ!間に合って!!」


心から安堵の表情のナルト
しかし当のカカシは眉間にシワを寄せ


「んー、なんだかものすごーく、華がないね」


「悪かったな」


「あれーサスケくん怒っちゃった?ごめんごめん。ところでイタチ、ミツバは?」



カカシから出た妻の名前にピクリと眉が上がるイタチ、平然を装い冷静に答える


「今日は急用ができて来れなくなりました」


「ふーん、アイツ自分から誘っておいて。サスケ、サクラ達も来るんだろ?」


「いや、今日は来ない」


「え、来ないの?今更だけどよく見たらこの座り方何なの?バランス悪くない?みんなで横に並んじゃって…」


すると外から数人の女性の声が近づいて来た
ドアがゆっくり開かれ四人の女性が現れる


「・・・・?」


目を点にしてナルト達と四人の女性を交互に見つめるカカシ

「そーいうことね、、騙された、、」

そして頭を抱える


「カカシ先生のためだってばよ!せっかく来たんだから楽しんでくれよな!」


「お前らなぁー、後で覚えてろよ」










「へぇー!すごい!みなさん忍なんですね!!」


「そうだってばよ!なぁ!サスケ!!」


「あぁ」


「・・・・。」

「・・・・。」

「・・・・。」




「と、とりあえず!何か食べ物頼むってばよ!何か食べたいのあるか?」

この空気をなんとか乗り切ろうと気を遣いまくるナルト
集まった四人の女性はミツバやサクラ、ヒナタの友達の友達の友達なため全員忍ではない

飲み物と食べ物が揃いナルトの一声で自己紹介が始まった



「じゃあ、オレから!名前はうずまきナルト!夢は火影になる事だってばよ!!つぎ!サスケ!」



「うちはサスケ」



「・・・。」

「・・・。」



「・・・・・って終わりかよ!!本当ゴメンな!こーいうやつなんだってばよ!」

必死のナルトのフォローも虚しく腕を組み目を閉じるサスケ


「(サスケめ、覚えてろよ!)じゃあ次は〜!イタチ!」



「うちはイタチ」



「・・・。」

「・・・。」


「・・・・・って!お前も終わりかよ!!兄弟揃って何だってばよ!!」


盛り上げ隊としての役を全く果たしてないうちは兄弟を目の前に心の中でミツバとサクラに助けを求めるナルト


「(ここは主役のカカシ先生で盛り上げるしかないってばよ!)ではではお待ちかね!エリートカカシ先生!どうぞっ!!」



「おいナルト、何ハードル上げちゃってんの。えーっと、ご紹介にあずかりましたはたけカカシです」


ペコリとお辞儀をするカカシ、ここぞとばかりにナルトが盛り上げる


「カカシ先生ってば火影なんだってばよ!!」



「火影?さっきナルト君も火影になるのが夢って言ってたけど火影って何なの?」


一人の女性が食いついてきた


「よく聞いてくれたってばよ!!火影ってのは里でいっちばん強くて、頼りになって、皆んなに認められねぇとなれないんだってばよ!!」


「へぇ!そんなにすごいんだ!」


「そうだってばよ!!」

えっへん!となぜかナルトが胸を張る
じゃあ次は女の子達も!と自己紹介を進めるナルト



一人目は背が小さく天然そうな大人しめな女の子
髪は肩ほどで花屋さんで働いているらしい


二人目はスッとした感じの大人な女性と言った感じの女の子
エステサロンで働いているらしい


三人目は活発そうな短髪の女の子
保育士をしているらしい


四人目はカラッとした性格をしてそうな女の子
頭の先から爪の先まで綺麗にしていてアパレル定員として働いているそうだ




すると花屋さんが口を開く

「あのぉ、サスケさんとイタチさんの苗字は一緒ですけど、兄弟なんですか?」


「「あぁ」」


「やっぱり〜!似てると思ったんです!」




「(お前、さっきあいつらが兄弟って言ってた気がしたけど。オレの聞き間違い?)」

「(いや、言ったっばよ)」


次に保育士さんが口を開く

「ナルト君は火影っていうのに憧れてるって言ってたけど、やっぱりカカシさんにも憧れてたりするの?」


「…当たり前だってばよ!!(時間にルーズなところ以外は)」


「ナルト、何?今の間」


「き、気のせいだってばよ!!」


自己紹介を終えてからはある程度話も盛り上がりトイレに向かった女性四人



「ハァ〜〜〜〜」

扉が閉まると共に盛大なため息をつくナルト


「ふっ、頑張ってるなウスラトンカチ」


「誰のせいでこんなに気使ってると思ってんだってばよ!!」


「オレだって盛り上げてる」


「どこがーーーっ!?!?」


「つまらない奴の役を演じてカカシの株を上げてるだろ」


「・・・・おう」

つまらない奴の役作りだったのか、いつもと変わらない気がするけど
と思ったナルトだか言葉を飲み込んだ


「ナルト君、あまり気を遣いすぎると疲れるぞ」


「だったらもっと楽しそうにしてくれってばよ〜」




すると外から四人の女性の声が聞こえた


「あのうちは兄弟クールでかっこいいよねー!」
「でも愛想がないのがなー」


効果覿面だろ、とニヤリとナルトの顔を見るサスケ



「ナルト君も面白くていいよね〜」
「でもやっぱり!カカシさんかな〜?」
「えー!私もカカシさんがいいのに!かっこよくて、エリートで、紳士的で、何よりあのマスクの下!ちょー気になる!!」





「ナルト、頼むからこっち見てニヤニヤするな」


「えぇー、だってー大人気だってばよ?カカシ先生っ!」


なんだかんだ作戦が成功に向かっていて満足げなナルト


「カカシ先生ってばどの子がタイプなんだってばよ〜?」


ニヤニヤしながらカカシに詰め寄る


「うーん。誰かなー」

「照れんなってばよ!」



すると戻ってきた女性四人
それからたわいない話をして今日はお開きとなった









ーその後。一楽にて


「ハァ〜〜〜〜〜疲れたってばよ〜〜〜」

盛大なため息をつきテーブルに突っ伏すナルト


「カカシさん、誰か連絡先は交換したんですか?」


サラッと聞くところが今までの恋愛経験を物語る


「うーん、してないよ」



「えええええー?!誰も気に入らなかったってことぉぉぉ?!」


「悪いなナルト、イタチ、サスケ。せっかくこんな場を用意してもらったんだが、オレは今火影の身だ。大切な人を守り抜くのもいいが、今は守るものが多すぎる。もしも木の葉に何かあれば、オレはきっと里を優先するだろう。だから、すまない。」





すまなそうに言うカカシに、こちらまで申し訳ない気持ちになる






沈黙を破ったのはナルト





「そっかー!そうだよな!やっぱり流石!カカシ先生だってばよ!オレも火影になるために修行頑張らねーとな!!」


「カカシさん、そこまで里を…」


「たまにはまともな事言いやがる」


「サスケ、たまにはってどーいう事?今日はサスケの奢りって事で。ナルト、たくさん食えよ」


「ラッキー!サスケー!いただきまーす!!」


「おい!ウスラトンカチ!調子にのるな!!」


ナルトとサスケがギャーギャーと騒ぐ中、静かに口を開いたイタチ


「カカシさん、寂しくはないんですか?」


「んー?寂しくないかと言われれば嘘になるが、今は仕事で頭がいっぱいってのが現状だな」


「そうですか」


「ま、こんな風にお前たちや仲間と飲みに来るだけで楽しいよ。オレは」


「カカシさんのこと少し見直しました」


「え、それどういう事、お前オレのことどう見てたのよ」


「いや。個人的な嫉妬があったんですが、取り消します」


「嫉妬?え、オレ何かした?気になるじゃない」


「気にしないでください、過去のことは水に流しましょう」


「オレだけ理解してなくて流しきれないんだけど」


爆弾を投下しておいて一人ラーメンをすすり始めるイタチを横目に水を一口飲む


振り返るとこのところ仕事ばかりで睡眠もろくに取っていなかった
今回のは合コンという形ではあったがナルト、サスケ、イタチと飲んで良い気分転換になった

こうやって信頼できる仲間と語り合い、楽しい時間を共にするだけで体が癒される

大切な人か……
この座を七代目に譲って考えるとしよう、まだ遅くないよな、、?


未だ騒ぎ続けるナルトとサスケ
黙々とラーメンをすするイタチ



「ナルト、サスケ、イタチ。今日は楽しかったよ。良い息抜きになった、ありがとな」



「全然良いってばよ!」

ニシシっと笑い鼻の下を擦るナルト



「また、飲みに行ってやってもいいけどな、もちろんカカシの奢りで」

目こそ合わさないが珍しく素直なサスケ



「そのときはオレも呼んでください」

嫉妬心を水に流してから徐々に心を開くイタチ



「ああ、みんなありがとう。あ、そうだな。次はミツバたちも呼んで華やかにやろうじゃないの」



カカシの口から出た妻の名前にピクリと眉が上がる夫
再び沸き起こる嫉妬心を必死に抑えるイタチだった

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