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「ーーという訳なんだが、どう思う」
「どう思うって、オレに聞かれてもな…」
しばらく互いを見つめた後ため息をつく二人
「だいたいミツバの事はオレよりお前の方が知ってるだろ」
「だからこそわからなくなる時もある」
「そんな事言われてもなー」
なぜオレがこんなに困っているかと言うと、最近ミツバの様子がおかしいらしい。長期任務から帰って早々甘味処に呼び出されたと思ったらコレだ
「こんな事相談できるのはシスイしかいないだろ」
「頼ってくれるのは嬉しいけどなーこればっかりは…」
「頻繁に行き先も告げずにフラッと出て行くんだぞ、ハズキも連れて行かずに」
「で、お前に隠し事があるんじゃないかと」
「ああ」
「考えすぎだろう、証拠でもあるのか」
「いや、ない」
「ほらな。らしくない、いつもの冷静さはどうした」
「我が家の一大事だ、冷静でいられるか」
基本冷静なイタチがここまで追い詰められているのは珍しい
「ミツバが外に出るのがそんなに珍しい事なのか?好きなら信じてやるものだと思うけどな」
「ああ、オレも信じたいのは山々だがな。帰って来て"お腹いっぱいだから"と夕飯を食べなかったり、ふとした瞬間一人で嬉しそうに笑ったり、オレに隠し事をしてるとしか思えん」
「そんなに気になるなら聞いてみればいいだろ」
「それができないからお前に相談してるんだ」
「じゃあハズキに聞いてもらえ」
「その手があったか」
「おいおい、本当にハズキに聞かせるのか」
「ならばどうする」
「やっぱり自分で聞いてみるしかないだろ、お前が本当にミツバの事を信じてるんだったら聞いても何も怖くないはずだ」
「そう言われればそうだな」
「イタチでも混乱する事があるんだな」
長年の付き合いだが自分で答えを出しきれずにここまで追い込まれたイタチを見たのは初めてかもしれない
よっぽど焦っているんだろう
「冷静に考えたら普通に聞けばいい話だな。すまないシスイ」
「いや、気にするな。オレもイタチの人間らしさが見れてよかったよ」
「どういう意味だ」
「そのまんまの意味だけど?」
そう言ってニヤっと笑うシスイ
「長期任務明けにすまなかったな。ここはオレが払う」
「その約束だったろ?」
「フッ、そうだったな」
花火大会での事覚えていたのか
じゃあな、と手を挙げて背を向けるシスイを見送り帰路に着く
オレとした事が取り乱してしまった
しかし、弱味を見せれる存在が家族以外にあると言うのもいいものだな
行きとは比べものにならない程軽い足取りで我が家へと向かった
隠し事