「ヤバいな……誰か!ああ、そこの君!来て!!」
「は!?ちょ、え、キモッ」
「右、来るよ!金あとで渡すからそこ入れて!早く!」
「え?……わかったよ」
久しぶりにゲーセンに来てみた。いやまぁ、部活が休みだからって言う理由で黄瀬に誘われたというだけなんだが。部活が休みなのは体育館に雨漏りが発見された。それの修理だ。
「次左!」
「あ、はい!」
てかコイツの制服うちのだし。海常の生徒かよ。
てかなんで俺こんなことさせられてんの?隣に立ってた黄瀬とかのが目に付いただろ!?
つかキモい。なんで女がこんなグロイのやってんだよ。
ゾンビが、なんか襲ってくる銃撃ゲーム?なのか?
「おわッ!」
「姉ちゃんいいぞー!」
「兄ちゃんガンバレや!」
「ッス」
いや、ガンバレや!じゃなくて代わってくれ!俺はゲームはあまりしねぇから!
「次上」
「え?あ、マジか。おお、マジだ!」
銃を構えてゾンビに向かって打ち込む。
やっててわかったこと。頭を撃ち抜けばいいらしい。大画面に向かってゾンビアップで映ってるの二人で打って。
何してんだろ、俺。
「っしゃぁ!クリアしたぁあ!」
ボス的なの倒して飛んで喜ぶ彼女は三年でしかも剣道部なのだろう。
腕にアザが出来てる。手の付け根のところが黒くなっているから余程のやり混み具合だ。
まぁ、それはさておき。
「おい」
「?ぁ、ごめん、ありがとう…あぁ、100円っておや?」
俺を見たあとに自分の制服を見やる。
こんなゲームしてるくらいだしてっきりスカートとか短いかと思ったら意外と規定の長さだ。意外と長い。
それに黄瀬に言い寄ってくる奴らみたいに化粧とかしてないし。
「海常生?」
「あ、ああ」
ちなみに俺は女が得意じゃねぇ。
「……ごめん、もしかしてバスケ部の笠松主将?」
「ああ」
「せっんぱーい!」
「で、彼はそのバスケ部のエースでモデルくん」
「ん?」
「あちゃー、そりゃ悪かったね。帰る途中を邪魔したとかじゃないか?」
「あ、平気っスよ!ね、先輩」
「あ、ああ」
そっぽを向くと怒ってると勘違いしたのかまた謝ってきた。
「本当に済まない。明日なんか詫びるよ。今日は帰らなきゃいけないから!悪い……」
そう言って俺の手に100円無理やり握らせるようにしてカバンを取り走ってゲーセンから出ていった。
「……何あいつ」
「さぁ?そんなことより先輩先輩!あれやりません?」
黄瀬が指さしたのはバスケットのゲームだった。
てか俺、あいつにああ、とかしか言ってねぇ……。はぁ……。マジでこれどうにかなんねぇかな。
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