片恋

ハルに初めて会った時、コイツを思い浮かべたし、真琴に自分を重ねたこともある。
小学校に行こうと誘おうにもコイツの親はぐーすか寝てるし、インターホン押しても出てこねぇから家の裏口から入った。
そしたらまず行くのはコイツの部屋でも、リビングでもなかった。


風呂場だ。


「おい、学校行くぞ」


まさかの留学先まで同じだったそいつは同じ大学だったし、同じホームステイ先だったということが判明。
相変わらず寝起きの機嫌はわりぃし、起きた瞬間風呂に直行な女だ。


「凛……変態」


「お前、自力で大学行けんのかよ」


「ん、無理」


「だったら上がれよ、馬鹿」


「馬鹿っていった方が馬鹿だよ」


もちろん、ハルみたいに水着来てるし本当あいつ並に水が好きな女だ。


「Good morning」


「Oh…!Good morning, Rin」


ホームステイ先の奥さんに挨拶すると笑顔で返してくれる。名前もそれくらいしてくれてもいいのに、無表情だしな、あいつ。顔つき変わるのって水関連だろ。


「おはよー、シータ」


「オハヨー!」


「お、えらいえらい。日本語できるようになったの?」


「?チョットネ」


「すごいよ、ねぇ、凛。あ、エルザおはよー」


「Good morning!」


俺の隣の椅子に腰掛けたこいつの頭はまだ濡れてる。それを叱ったシータは頭を拭けとタオルを渡してきた。


「なんで俺?」


「拭いてくれそうだからじゃないの?凛、拭いて」


肩甲骨まであるその髪の毛を仕方無しに拭いてやる。なんで俺、こんな奴が好きなんだ?こんなガサツな、ハルみたいな女嫌なんだけど。
一応風呂も髪の毛とか洗ってんだな。
いい匂、い……って変態か!?


「くそっ」


「っぁあ?何、す、る……のさっ!」


グチャグチャにしたその髪の毛を見てシータが爆笑してる。そんなのはどうでも良くて、とりあえずこの顔の熱どうにかしねぇとエルザが笑う。


と、そっとトーストから顔を上げるとわかってるのよ、とでも言いたそうな顔で微笑んできたから余計に恥ずかしかった。


「ね、今日遙くる?」


「さー、知らねぇよ。くるんじゃねぇか?大会前だし」


「そっ」


似てるもの同士って惹かれ合う運命なんだろうか。俺の方がお前よりもずっと一緒にいるのに、なんでぽっと出のハルのほうに気が行くんだよ。


「凛」


「ん?」


「何しょぼくれてんの?」


「うるせー」


のぞき込んできた名前が可愛くてようやく引いた熱もまたぶり返してくる。


「熱、あるんじゃない?」


「ねぇよ。ほら、さっさと食え」


「んぐっ!?」


名前が手に持っていたトーストを口に突っ込めさせ俺は皿をエルザに渡して部屋に戻る。それから支度を済ませる。


「おい、行くぞ。早くしろよ、お前……」


まだシャコシャコと歯を悠長に磨いている名前。風呂に入るためだけに早起きするからか眠たそうだな。


「バスん中で寝てもいいからほら、早くしろよ」


「んんー」


名前の荷物をもたせ、背中を押してバスに乗り込む。
一番後ろの席に乗った瞬間俺の方に頭を預けて寝始める。


「はぁ……いつ肩貸してやるなんて言ったよ」


こういうのされるから期待すんのに。期待させんなよ、お前。


「バーカ」


お前は、ハルが好きなのか?


「ん……」


「…………好きだ、名前」


そう言っても届かないのだろうか?


。。。。。

うん、ダメだっかけない!本当に申し訳ございません……凛の性格はつかめず……いつもSubの方の性格ってどんなのなんでしょうか。いまいちわかってません……こんな作品ですみません、本当に。要様、リクエストありがとうございました。
凛の片思いでした!

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