俺の彼女は腹黒い

俺の彼女は一言で言うと腹黒い。え、お前が言うなって?言うなよ、研磨。俺より腹黒いっつの。なぁ、夜久?だろー、ほら見ろ研磨。お前がいつも見てる名前はなぁ、猫かぶってんだよ。猫又だけに。苗字に覚えがある?だって猫又監督の親戚かなんかだし。

「でぇ?テツローちゃんは彼女に今何かいうことないのかな?」
「すみませんでした」
「あはは、許さなーい」

いい笑顔で。
一つ年上の彼女である猫又名前は美女、ナイスバディ、腹黒、美女、腹黒、腹黒。大事なことだからもう1度腹黒いんだよな。可愛いんだけども。

「はい、鉄朗。手」
「はい。っいだだだだだ!痛いって、ちょ、イタッ、あああぁ……」
「あははは、剣道してる女子なめんなよ」

集合時間に遅れるとこうなる。遅れたのは集合場所間違えた俺な悪いのはわかってるんだけど、

「痛いって!」
「え?鉄朗は可愛い可愛い私と手をつなげて嬉しいって?うん、知ってるー」
「……はい、ボク、嬉しいデス」
「えへへー、でしょ?ふんっ」
「いだいいだいいだい!?ふんってもう言っちゃってますけど!?」
「そんなこと言う私も可愛いって?知ってるよ、もう」
「……は、い」

とまぁ、なぜこんな彼女と付き合えているのか。
はっきり言えば俺が名前にゾッコンで、そんでもって名前も俺にゾッコン。それだけ。まぁ、愛ゆえに大好きだし、こういうことをする彼女も可愛いとは思う。だけど、その思いと、痛みは別だろ。

「悪かったって。もー、許して」
「あ、謝る気、無いね?」
「あるあるある。だから、その笑み消せよ……。いつもの可愛い可愛い俺の大好きな笑顔はどこやったんだよ」
「ここにあるよー?」
「だから、怖いって」
「あ、ひどい」

プン、なんて怒ってしまうそのわざとらしい姿でさえも可愛いのだからなんとも表しにくい感情があふれる。するりと離れてしまった手にもう1度手を伸ばす。

「おこなんですかー?」
「おこですよ。でも、鉄朗からちゅーしてくれたら許してあげるー」
「は?え、えぇ……」
「何、嫌なの?」
「人、多いし」
「だから?何?」

にっこり。
腹黒女。自身は恥ずかしくないのだろうか。腰をおり瞳を閉じている彼女の顔に自分の顔を近づけていく。あと、数十cm、あと、数cm

「ふふっ」
「は?んむっ」

今俺の何かが失われた気がする。

「ふふ、仕返し。もう遅れないでね」

首の後ろに回っていた手が落ちる。
ぐっ、と押されて向こうから迎えられたキス。


今俺の顔、真っ赤な気がする。

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