買いだめ

「緑間くん」
「何なのだよ」
「おっぱいってどうやったら大きくなるのかな」
「ぶふぉっ!」
「な、なななな、ななな、何を!?!?」
「高尾くん、シェイクメチャ吹いたけど大丈夫?あと、緑間くん顔真っ赤。かーわい」

高尾くんにティッシュを手渡して緑間くんの顔をのぞき込むようにして見る。
ちなみに緑間くんとはお付き合いをしているわけなのですが、最近の私の悩みはおっぱいです。おっぱいがとっても小さいんです。すみません、下品でハレンチで。でも本当に悩んでいて。彼氏が奥手ででもむっつりだと、悩んでしまうは必然だと私は思ってる。だから、許してください。

「ねぇ、高尾くんどう?」
「い、いやぁ……クラスの『女の子』に聞くのは!」
「それがね、彼氏に揉んでもらえって」
「げほっ!」
「ああ、緑間くん大丈夫?」

まあ、たまにはいたずらもいいと思うのです。
真剣に悩んでるけど、そんな揉んで欲しいとか下品なこと思ってないし、隣にいてくれるだけで私は嬉しいから小さくてもいいや、って開き直ってきたんだけれどね最近。それでも寂しく感じる時はある、から悩むのです。

「げほ、ごほ、お、お前は本当に女子か!」
「女の子だから緑間くんと付き合ってるんだよ。いや、緑間くんがホモとかなら私は男の子になって緑間くんの前に現れるわけだけれど」
「ぎゃははははは!ホントもう苗字ちゃんサイコーだわ。俺先帰るわ。二人でゆっくりしたら?」
「いや、高尾いろ。いてくれ」
「もー、どうしたの真ちゃん。珍しい」
「うるさい、いろ」
「じゃあね、苗字ちゃん、真ちゃん」
「高尾ォォォォオオ!」

ひらひらと手を振った高尾くんはマジバから出ていってしまった。仕方なし、私も緑間くんもシェイクを飲み干してお店から出る。トボトボと二人して並ぶわけだけれど緑間くんって慣れてるんだよね。歩く時、私必ず歩道側。緑間くんは車道側を歩いてくれる。これをさりげなくないけれどやってくれる子なんてもうなかなかいないんじゃないでしょうか。

「ね、緑間く」
「俺は」
「んー?」
「名前は名前のままで、いいと……思うのだよ。悩む必要などない、と思う」
「デレだ……緑間くんのデレだっ!」
「は?な、何を!」

誤魔化したけれど、本当にすごく嬉しい。薄暗い中でよかったと思う。だって今私きっとすごく顔が真っ赤だ。おそらく緑間くんも。お互いがお互い顔はあまり見やすい位置にないわけだけれど、それでも見える。でも、今はこの薄暗さできっと見えないと思う。

「ね、緑間くん」
「何なのだよ」
「手、繋ぎたいな」
「……わかったのだよ、ほら」
「あはは、緑間くんの手、冷たいねぇ」
「そうか?」
「そうなのだよ」
「……似ていないのだよ」

そのまま、家に向かう。こういう時にお向かいさんでよかったと思う。お互い、バイバイって手をふれるから。家に入るまでを見れるから。

「ね、緑間くん」
「今日はよく喋るな」
「うん……明日おしるこ作るけどたべる?」
「ふん。食ってやってもいいのだよ」
「ふふ、ツンデレ真ちゃん。明日も頑張ってね」
「ツンデレなどではない!」
「バイバイ!」

玄関の扉を勢い良く開けて中に飛び込む。緑間くんのため息が聞こえたのは幻聴だろうけれど、きっとため息をついているのだろう。

「おかえり」
「ただいま。お母さんおしるこ作る。材料あった?」
「あんたが頻繁に作るから買いだめしてあるわよ」

晩御飯を食べてから、キッチンに立とうと思う。
さてと、大好きな人のために今日も元気にお汁粉作り励みますか。


。。。
緑間さんはなかなか書かないのでこれでいいのかすごく不安です。なんだか最初の方下品ですみません。とても遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。
素敵なリクエストありがとうございました。これからもよろしくお願い致します。

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