乱暴なキスは彼らしいと思う。けれど、相手の意思を無視してこんなことする人じゃないのは私が一番わかってる。なのに、彼は今何をしてるの。どうしてこんなに乱暴なキスなの。

「ちょ、しゅ……ぞ」
「ああ？」

すごく怒ってるのは手に取るようにわかった。待て、私は何をしてしまったのだ。彼を怒らせるようなことした？否、していないはずだ。心あたりなんてない。

「ど、して」
「うっせ」
「ふ、ぅ……」

苦しい。それから、チャイムがなったのにも関わらず、続いた。私が彼の頬を叩くまで、だ。

「何でこんな事するの」
「こんなことじゃねぇよ」
「そこじゃないでしょ。何でしたのかってことが問題なのよ」
「……したかったから」
「はいそこ、嘘つかない」
「ぅ……」

う、じゃないわよ、う、じゃ。
なんて言ったらそっぽ向いてだんまり。こういうところが可愛らしくて、それでいて子供っぽい。そこが可愛いのはわかってるし理解してるけれど、それを見るのとされるのとは別である。

「怒ってたでしょ。何で？私何したんでしょ？でも……記憶にないから謝りたくて」
「ちげぇよ。そういうんじゃなくて……あー、名前が…………たから」
「え？聞こえない」
「お前が！お、とこ……といた、から」

可愛らしい超えたよ。もうなんか可愛らしい超えたよ。え、凌駕してしまったんですがどうしたらいいでしょうか。
いやね、だってこう、口とんがらせて顔赤くしてるの変わってるからか腕で顔を隠してる。でもそれでも耳まで真っ赤なのが見えたしこれを可愛いと言わずしてなんという。

「嫉妬？」
「ぅ……」
「妬いたんだ？」
「はは、かわい」
「は!?うっせぇよ」

私たち授業サボって何してるんだろうね。そう言って笑ってキスをした。

「あれね、ずっと休んでた男の子。私学級委員で、ついでにいえば席が近いからノート貸してただけよ」

もう一度うっせぇと帰ってくるまでの数秒。今度は優しいキスでした。

。。。
お待たせしました！この間もコメントありがとうございました。あまり甘甘にできず、すみません……。嫉妬シーンもそこまで入れられませんでした。ここをもう少しこうして欲しい、というところがあればおっしゃってください。直させていただきます。
リクエストありがとうございました！