指切りを呪わないで

自分の幼馴染はモデルだ。そして大きい犬でもある。誰にでも優しくて、でもどことなく一線を引いているあの子の甘えている姿を見れるのは私だけだったらいいのに。そんなことを思ってみる。まぁ、実際そうなのだから何も思わないけれど。
学校では絶対にかかわらない。面倒ごとが嫌いだから。でも時たま目が合えば笑うし仲が悪いというわけじゃない。普通のお友達。

「りょーたー」
「う……ぁ?」

でも家に変えれば別。

「私のベッドで寝るなっていっつも言ってるでしょ」

ただのどこにでもいる人だ。いや、イケメンだけど。帰ってくるとよく私の部屋のベッドで寝ているかリビングのソファで寝てるかどちらかなのだからそこはいただけない。
お母さんは何も言わないし、むしろ大歓迎してるし。うちの親はどうかしてるよ、本当。でも一番どうかしてるのは

「私か」
「んー?何がっスか?」
「別に。ほら、着替えるよー背を向けてー」
「え、もう良くないっスかその件」
「少しは恥じらいを持ちたい……」
「むりっスよ、名前だもん」
「だもんとか言うとか反則でしょ、可愛いなおい」
「へへー、そっスか?」

可愛いから何でも許せてしまうとは、悲しいことかな。長年幼なじみしてて、幼稚園からずっと一緒。中学の時に神奈川に引っ越したけれどそのまま私は東京の中学に通ってたし、高校はこっちにしようと神奈川の高校決めたら何故か打合せしたみたいに涼太がそこにいた。
もちろん部活は別だし、アルバイトしている私は下手すると今日みたいに涼太よりも帰りが遅くなる時が多い。だから、一緒にいる時間なんて限られてるのに、それなのに。
私が誰よりも彼といる気になるのはなぜだろう。

「涼太」
「あ、ピンク」
「今日はピンクですが何か」
「もうちょっと恥じらったらどうっスか?」
「お前が言うなお前がー」
「ぎゃっ!グシャグシャにするなー!」

金色に近い鮮やかで眩しい髪の毛をクシャクシャと撫でてやる。

「はは、ゴールデンレトリバーみたいだ」
「それ、褒めてる?」
「私はそのつもり」
「ならいいっス」

笑った彼は幸せそうに撫でられてる。どうしてこう、周りの人達に接することが出来ないのだろうか。すごくこうやって心を開いていたら可愛らしくて格好いい男の子なのに。勿体ないね。

「涼ちゃん」
「っなんスか?」
「カッコイイね、君は」
「何言ってんスか?それなら名前は可愛いっスよ」
「はは、モデル様から褒められた」
「ん、本当っスからね?」

涼太は狡い。いつも私の前をいってしまう。きっと彼女も私とは違う、可愛らしくて誰よりも涼太を大切にしてくれる人がなるのだろう。それでも、それでもいいから。今なら間に合うから、だから

「ご飯、食べる?」
「食べるっス!」
「もう出来ると思うから、下行こう」

幼馴染としてそばにいさせてください。


title by まばたき
。。。
智美様
大遅刻、お許しください!応援してくださり、ありがとうございます。こんな、亀更新の管理人のサイトですがもしよろしければまた足を運んでやってください。
リクエストありがとうございました!

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