友人として

君のこと、好きだった。ううん、だったなんて嘘。過去形にできないほどにまだ好きだ。いっそのこと忘れることが出来たらいいのに。何度そう思ったって君への『好き』が溢れてくる。それも、馬鹿みたいに。

「かーさまつ」
「おー、苗字か」

だから、君と一緒にいれるように髪の毛も切った。口調も変えた。全部君といるため、女の子が苦手な君のため。どれだけ馬鹿にされようがこの矢思いを馬鹿にしたやつはぶん殴ってやる。私の心の中だけに留めておくから、だからこれくらい許してよ。

「明日試合なー」
「わぁってるよ」
「流石主将様」
「てめぇ、バカにしてんのか」
「いやいや、んなことないって」

『友人』でもいい。傍にいれるなら、それで。
好きになったのは至極簡単な理由。一目惚れ、それだった。正直一目惚れなんて有り得ないって思ってたし、ないわーなんて思ってた。けれど、してしまったものは仕方ない。

「なぁ、何でお前マネージャーしてんの」
「したらダメなのか?」
「そういう意味じゃない。ただ……上手いからお前。バスケ」
「そんなの、みんなの真似したらたまたま入っただけだろ。お前に関係なーい」
「あっそーですかー」
「そーですぅー。いたぁっ!痛い痛い痛い!!!!そんなに足蹴るな、馬鹿野郎ッ!」

こうやって、触れ合えるのも私が私って言わないから。女の子にならないから。ただ、ずっと傍に置いていてくれる、いさしてくれる。3年間、ずっと一緒だった。笠松ばっかり見てた。
だからかな、笠松みたいにボールを打ってネットに吸い込まれるように入ったのがすごく嬉しかった。それを見ていた笠松は私に遠まわしに女バスに入れとうるさいのだ。

「じゃ、後で。部活頑張れよ」
「ああ」
「勝って勝って勝ちまくって目指すはウィンターカップ優勝な!」
「当たり前だ」

私はこのままでいい。進まなくていい。ただ、彼のそばにいるだけで、それだけで幸せだから。
どれだけ好きが溢れても、私たちは決して男女として隣に並ぶことはない。それはわかっていることだ。
だから、私は男女で隣に立つのではなくて、友人としてそして理解者として支える者として私は彼の隣に立つことを願う。

。。。
少し短くて悲恋チックになってしまいましたすみません。遅くなりましたが、リクエストありがとうございます。

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