※短めです
隣で机に突っ伏して寝ている名前。そんな彼女が珍しく魘されていた。いつもなら幸せそうに笑って食べ物の名前の一つや二つでもつぶやいてる名前が。
どうしたらいいんだろうか。魘されている場合起こせばいいのかそれとも何かしてやれるのか。
「………で」
「?」
「いか、で」
「……」
「あか………いか……で」
『赤司くん、いかないで』
なぜ彼女がそんなケッタイな夢を見ているのかは俺には理解不能だった。どうやら名前は俺がどこかに行ってしまう夢を見ているらしい。一体何の記憶の整理をしているんだか。
「名前、俺はここだ。いなくならないしどこにも行かない。大丈夫だよ」
「……ッ……ぅ」
「だから泣かないでくれ」
妙に冷えた手を握って背中を摩る。ボロボロと涙を流し俺のの前を連呼する彼女は初めて見た。こんなにも弱くか弱い名前、今まで俺の目に写ったことがあったろうか。
「名前」
「……?あか、しくん……?」
「ああ。おはよう」
彼女の頬を伝う涙をぬぐって笑いかければ彼女も笑った。力のない笑いは俺の顔を見た瞬間崩れて泣き出した。
「……怖い夢でも見たのか?」
「あ、赤司く、が」
「ゆっくりでいい。落ち着いて」
「あか、しくんが……違う女の子と、どっか行っちゃう夢でッ」
ああ、なんて可愛らしいんだろうか。こうやって想ってくれているというのが。よくわかってしかも泣かれるというのは、いけないことだとわかっていても愛おしいと感じてしまう。
「馬鹿だね、君は。俺はどこにも行かないよ」
「本当に?」
「よっぽどのことがない限りね?」
「うっ……」
「はは、嘘だよ」
腕を広げておいでと言ってやれば恐る恐る抱きついてきた。
「魘された時、どうしてほしい?」
「……そばにいて、手を握って、笑って起こして欲しい」
「おや、じゃあさっきのでよかったのか?」
「うん。安心するの。笑ってる赤司くんが目の前にいたら、さっきのは夢だったんだって安心できるから」
名前の願いはあまりにも簡単で誰にでもできること。抱きしめて頭をなでてやる。彼女らしい花の匂い。香水でもつけているのかと以前聞いたとき何もつけていないというのだから柔軟剤の匂いなのだろう。
「でも、もう次からは魘されないでくれ。心配する」
うん、と笑った彼女をもう一度きつく抱きしめた。
。。。
有希様
遅くなりすみません!魘されるのをどうにかする、の意味がはじめ全く理解できませんでした。魘されている人を間近で見ることがなかったからです(^^;;そのため想像と違っていたらすみません。リクエストありがとうございました。