壁ドンもどき

「あ、あのね、赤司くん」


「ん、何だ?」


「こ、この状況は……」


「女子が朝嬉しそうに話していた。壁ドンと言うやつだが……」


それは、わかってるよ。わかってます!
でもどうして私が壁ドンされているかということを聞きたいんだけど、うまく言葉が出てこなくて……。


「……こうすると良く君の顔が見えるね」


「っ!?」


さっきよりもより一層顔を近づけてきた赤司くんは楽しそうに笑っている。
彼の整った顔を前にして正常にいれるわけが無い。左右違う瞳から逃れようと顔を背ける。


「おや、抵抗するの?どうして?」


「え?……その、ほら!あれだよ!あれ……えっと、あの……」


「うん、何?」


「は、恥ずかしくないですか?」


私はどうして一つ年下の彼に敬語なんて使っているんだろうか。私が使われる側なんだけどな……こう見ると彼の方が先輩みたい。
大きくて、細いのにがっしりしてるし。


「でも童顔」


「今、なんて言った?」


「え……」


どこでもかしこでも思ったことを口にしてしまう私は今最大のピンチらしい。言ってはいけなかったようだ。
口元は笑っているのにもかかわらず目が、目が笑っていない。


「ど……」


「ど?」


「どうが、ん……」


「名前は僕が童顔だって言いたいんだ?」


いや。言いたいんじゃなくてね、言ったんだけど。過去系だよ、過去系。


「ねぇ……そんなこと言っていいと思ってる?」


赤司くんの鼻と私の鼻が触れるか触れないかというくらいに彼は顔を近づけた。背けていたのに片手で正面を向かされてしまったことに腹が立つ。でも顔を掴んだせいで両手で壁ドンされていたが、片手になったことにより逃げ道ができた。
これを好機と見た私はすぐに行動。


「ばか!」


壁ドンから逃れさらに逃げるために彼に背中を向け扉まで全力疾走した。
ちなみに私の部活は手芸部である。赤司くんの部活はバスケットボール部。走るスピードの違いに驚きながら扉に手を伸ばす。


「捕まえた」


速く走るために降っていた腕を捕まれ、赤司くんに強く引っ張られた。当然彼の力に負けて赤司くんを見るハメになる。別にイケメンさんは好きだし、むしろ見れたらとっても嬉しいんだけど、それでも私はこの状況が嬉しくなくて。


「ぎゃぁぁあー!離してよっ」


「……名前は僕のことが嫌いか?」


うう、そんな拾ってください、ワン、的な顔しないでよ。ダンボールに入ってるワンコを思い出すじゃん。


「き、嫌いじゃないよ」


「本当かっ?」


「うん」


嬉しそうにはにかむ彼は私を腕の中に閉じ込めた。


「…!」


「好きだ、名前」


耳元で囁かれるその声は心地よくてくすぐったい。
いやいやと首を振ると後頭部を押さえ込まれた。


「……あ、かしく」


「可愛いね、本当にお前は。僕の思ったとおりに動いてくれる」


「え?」


「君も僕のことが好きだろう?」


ダイレクトに伝わる君の体温に体が熱くなる。赤司くんの体温は意外と子供体温なのか、それとも照れてるのか暖かい。


「……わかり、ません」


「全く……押しに弱いくせに」


「なんで知ってるの」


「いつも見てるから」


「……ストーカー」


「五月蝿いな。それで?返事」


否定はしないんだね。
そこは否定した方がいいと思います。


「何の?」


「僕の告白の。付き合ってくれる?」


確かに押しに弱いし、イケメン好きだし、ていうか赤司くん好きだし……ああ、そんなの決まってる。


「当たり前。お願いします」



まずは私を名前先輩と呼ぶことから始めようか


。。。。
キュンモノがかけない私を許してください……
リクエスト、有難う御座いました。

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