日常の中の非日常

「研磨さん」
「何?」
「もしかして、今日は部活がない日だったりしますか?」


そんなことを聞かれて彼は変わらない表情で私の顔を見てから片手に持っている携帯に目をやる。


「別に、普通にあるよ」


携帯からclear!なんて音が聞こえて、それから直ぐに帰ってきた返事に少しだけ頬がゆるんだ。プリン頭な彼。私はそんな彼の幼なじみです。
部活、あるんだ。


「あれ、名前」
「鉄朗さん、鉄朗さん」
「何だ」
「今日一日研磨さんを貸して下さい」
「んな事できるか。研磨はものじゃねぇよ」


と、鉄朗さんからの軽い拳骨。頭を抑える私を他所に鉄朗さんは研磨さんの首根っこを引っ掴む。その行動に眉を顰め、携帯から一時顔を上げるがすぐに諦めたのか携帯に戻す。


「あ、名前」
「はい」
「一応何で研磨貸して欲しいのか聞いてやる」
「それは」
「それ、多分、今日が名前の誕生日だから……じゃないの?」
「け、けけ、研磨さっ覚えてて」
「幼なじみの誕生日くらい、覚えてる」


その割には鉄朗さんは覚えてない感じだけど。鉄朗さんは目を見張りそれから研磨さんと私の顔を交互に見る。


「ちょっと、パフェ食べに行くのに付き合って欲しかったんです」
「よし、今からバレー部集合させんぞ」
「え、何言って」
「名前の誕生日パーティーだ!」


どうせ鉄朗さんのことだから、忘れてて悪い!みたいな感じなんだと思うけど。わざわざバレー部呼ばなくても。


「良かったね、名前」
「研磨さん。結果オーライなんでしょうか?」
「じゃあ、プレゼント。はい」
「え?くれるん……!?」


肩を叩かれて横を向けば頬に当たった研磨さんの長い指。そして、その後すぐに感じた額の熱。


「ああー!研磨てめぇ、は、ははは、破廉恥なぁぁぁあ!」
「山本、うるさい」
「あはは、苗字先輩俺もー」
「リエーフ、一回黙れ」
「ちょ、夜久さん痛い!」


「研磨さん、今」


明らかに、今、今今今今オデコにチューされた?だめだ、私、18歳の誕生日きっと忘れませんよ。


「研磨さん、」
「何?」
「ありがとう!」
「別に。おめでとう」


後ろから飛びついてきた灰羽くんを夜久くんが引っペがしてくれて、放心状態になっている山本くんを鉄朗さんが肩を揺すっていた。
素っ気ない研磨さんからのおめでとう、はきっと今日、誰よりも嬉しい言葉。


「研磨さん、お返しです」


腕を引いて研磨さんのおでこに唇を寄せる。すぐに離せば見えた研磨さんの顔。


「ふふ、研磨さん真っ赤ですね」
「名前うるさい……」


たまには日常の中に非日常があってもいいんじゃないでしょうか?
手を取れば、顔を逸らされて、それから研磨さんの手に力が入った。恋人繋ぎをしてみたりだとかするのは、少しは私たちも大人になったからなのかもしれない。


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みう様
研磨中心の日常とリクエストしてくれたのに全くの反対になってしまいました。本当にすみません!お気に召さなければ書き直させていただきます。リクエストありがとうございました!

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