ハッピーバースデェェェエエ

誕生日って何をする日だ。


答えは生まれたことを祝う日だ、と私は思う。


「ということで、だ。大輝」
「何がということで、だよ」
「赤司征十郎の誕生パーティーの準備をしようじゃぁないか」


ちなみにその場に赤司はいない。もちろんこの場にいるのは赤司を覗いた皆さんがただ。


「苗字、お前本気か?」


ずっと前からプランは考えてたり……。でも、結局これしか思いつかなかったというか何と言うか。だって、赤司ってこういうことされなさそうだし。それに、家族でもちゃんと誕生日祝ってもらってるのかなぁなんて、お節介な思いがあったりだとかして、面白い方向に走ってしまうけど。


「それでも、これがいいと思うんだよね」
「……ケーキは誰が作るのだよ?それとも買うのか?」
「さつきが作ったら?」
「赤司に殺されっぞお前」
「青峰くん、それどう言う意味?」


ため息をつきながら協力しようとしてくれる緑間。案外この人優しいんだよね。ツンツンツンデレな割合だけど。本当に希にしか見せない優しさは今、赤司の為に発動されている。


「ワンホールは高いから……」
「てかコンビニのでいくねぇか?」
「赤司に上げるのに、勇気あるね大輝は。さすがアホ峰」
「おい今何つった」
「なーんにもー?」


ケラケラと笑いながら一年赤司に世話になったと言う意味で紫原と私がケーキを作ることに。緑間は器用だが料理はからっきしらしい。さつきは部屋の飾り付け。ちなみに会場は私の家。赤司の家とまでは行かないけど、意外と広いからね。


「ああ、それと」
「ん?」
「緑間は私とプレゼント買いに行こうか」
「お前はケーキを作るのではないのか?」
「一週間ほどあるのに作らないよ」
「それもそうか……」
「アホ……じゃなくて大輝も行こうよ」
「もっぺんアホって言ってみろ。顔面にボールぶつけんぞ」


大輝の指の上をくるくると回転していたボール。手のひらに収めた彼はそれを私に向かって構える。流石に幼馴染とはいえどやっていいこととやっていけないことくらいの区別はついて欲しいな。


「痛いから、顔面は痛いからねっ?」
「ダメだよ、青峰くん。名前ちゃんも一応女の子なんだからね!」
「さつき、一応って何一応って!?」
「いやぁ、ごめん。言葉の綾というか……あは、あははは」
「酷い」


その場に赤司が来たということもあってその日はお開き。
それからたまに連絡取り合い、準備を着々と進めていった。そして結局誕生日プレゼントはみんなで買いに行って、案外楽しい一週間でした。赤司に怪しまれたりしたけど。そこはスルーして頂きました。



「何を企んでいるんだ?」
「いいだろう、そんなことよりも入るのだよ」
「何故緑間が苗字の家を?」
「いろいろあるのだよ」


さてさて聞こえたその二つの声にワクワクしながら構える。そしてゆっくり扉が開き赤い髪の毛が目に入った瞬間、持っていたワンホールケーキを青峰が赤司目掛けて投げる。勿論一投目は外れるとわかっていての作戦だ。


「うぉらぁ!!!ハッピーバースデェェェエエ!!!!!!!!!!!!!!」
「青峰、危ないだろう!な、苗字ッッ!!!?」
「ハッピーバースデェェェエエ!!!!!!!!!!!!!!よっしゃ、成功!成功したよ!」


ベシャ、なんて綺麗に潰れる音がしたと思ったら赤司の顔面に私の投げたケーキがついている。
そして最後。緑間の投げたケーキが綺麗にゴールした。赤司の頭に直撃したのだ。
わなわな震えている彼を見てゾッとしたが、そこは置いておいて。


《Happy Birthday!!!》


みんなで声を揃えてそう笑いあった。ケーキを顔面と頭にかぶった赤司は驚いた顔をしてから、小さく微笑んだのだから、この誕生パーティーも成功なのだろう。


「ありがとう。さて、この作戦の首謀者は?」


《苗字》


「そこなんで声揃えたの?ねぇ!」
「さて、桃井。明日は仕事はしなくていいよ。苗字が全てしてくれるようだから」
「えええ!?ケーキを作ったのがさつきじゃないだけマシだと思ってよ!」
「酷い!赤司くーん、明日も明後日もやってくれるってー」
「よかったな、さつき」


ゲラゲラ笑いながら私を指さす大輝。それを見た赤司はニッコリ笑ってそんな彼に言ったのだ。


「青峰、お前は三倍しようか、明日」
「はぁ!?」
「ざまーみろぉー!」


こうして赤司の誕生パーティーは幕を閉じたのだった。
赤司にはありがとう、ともう一度言われて腕によりをかけてつくった(お母さんと私。でも主にお母さん)料理を食べて美味しいと言ってくれたのだった。多分この笑顔はもう一生見れないのだろうけど。


「っていうのが昔あったんです。面白いでしょう?」
「征ちゃんって、笑うのねぇ。ピュアッピュアな笑いなんでしょう?」
「はい」
「いやぁー、いいこと聞いたわ。来年しましょうよ。もう過ぎちゃってできないけど」
「でも、できますかね?あの人もうバケモンになってますけど。しかも三倍になりますよ?」
「いいわよ、根気で三倍くらいどうにかするわ。それにケーキ投げくらいできるわよ。顔面キャッチしてくれたらいいのよ」


昔話をしながら体育館に向かう。
シン、としている体育館に一人、立っている我らが主将、赤司征十郎をみて思い出し笑いをするのだった。


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さて、こんな感じでよかったのでしょうか?遅れてしまい、申し訳ございませんでした!

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