人は変わる

「聞いた、赤司?今日も美しいですねだって!ぶふっ」
「夢翔、君は一度黙るということを知ろうか」
「え、ごめん。最近耳遠くてさぁ」
「いい耳鼻科を紹介してあげよう」


ため息をつく赤髪の少年とは裏腹にケラケラと楽しそうに笑っている苗字夢翔。通用門から入った瞬間に聞こえた言葉をわざわざ赤司に言ってやるところが彼女らしかった。


「でも、ホントいつも思うけど綺麗な顔してんのね〜」
「もういいだろう、ほら行くよ」
「あはは!照れてんの?」


顔を背けて歩くスピードを早くする赤司の背中を軽く叩きながら彼の顔をのぞき込む夢翔。少しだけ赤くなった赤司を冷やかして遊ぶ。


「う、うるさいっ」


その言葉を聞いた夢翔以外の女子は顔を赤司以上に赤くして即答していた。中1にして、既に学校中で人気な赤司。いい噂ではなく不思議な噂で一杯な夢翔。何の噂か本人でさえも知らない知る人ぞ知る噂である。


「ねぇ、赤司」
「何?」
「お腹減った」
「朝ご飯は?」
「カツカレー」
「うっ」


朝からなんてヘビーな物を食べているのか。自身が朝からカツカレーを食べている様を想像して胸焼けがした赤司は口を押さえる。


「通りでカレーの匂いがするのか」
「え、臭い?」
「……」
「無言が一番怖いんだけど」


ケラケラと笑いながら赤司の背中をバシバシと叩く夢翔。
痛いのかゲホゲホと咳をしつつ彼女の腕を取る。それからガッチリと手を掴んで歩き出したものだから周りから見れば付き合っているように見えるだろう。しかし、彼らは付き合ってなどいなかった。ただ、小さな頃から一緒にいたからこういうことが習慣づいただけなのだ。


「赤司ー」
「何だ」
「今日も遅くなるの?」
「ああ。バスケ部だからな」


そうやって会話をしていたのに。何故だろう。どこで狂ってしまったんだろうか。どこかで彼は壊れてしまったんだ。



「お前は僕のだろう?」



そう言って子供がするような唇と唇をただ合わせただけの口付け。顔を見れば笑ってもいない、泣きそうな顔でこう言うのだ。


「夢翔、ごめん。ごめん」


お前は誰だと聞きたかった。さっきまで赤くなかった瞳はもう戻っている。赤、自分が赤を好きになったのは赤司がいたからだろう。


「いいよ、別に」


こうやって恋人でもない。幼馴染みどうしで傷を舐め合い、慰め合うのだ。


「赤司、どこにも行かないよね?」
「ああ、行かないさ」


そう言ってくれたのに、次の日から赤司の瞳は左右違う色になっていて


「夢翔。行くぞ、お前も洛山に」


腕を掴んで笑う彼は別人だった。


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
夢翔様
こんな駄作で本当に申し訳ございません!最後の方が無茶苦茶悲恋になってしまい……どうやって終わらせようと考えた結果こんなものになってしまいました。これでも良かったのか、疑問ですが気に入っていただけると嬉しいです。リクエスト有難うございました

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -