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「……七瀬さん」


『ん?ああ、黒子くん。どうかした?』


「松岡さんと付き合ってると……」


必死で弁明しました。


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


「やあ、棗」


『あれ、赤司くん。法学部がどうしてここに?』


「風の噂できいたんだが……凛と付き合っているらしいじゃないか?」


『それは……違うからね?』


「フフッ、そんなのわかっていたよ。からかってみただけさ」


おちょくられました。正直イラァとしたのは仕方ないと思う。


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


「おい、お前、彼氏出来たんだってな」


『清志……!違う!』


「何が?」


『私は凛とは付き合ってないからね!わかった!?』


「お、おう」


それでよし。てか、なんでこんなに広がってんの?……ああ、大輝、君か。君なのか。
そういえば昨日そんなことを言っていたな。
取り敢えず、黒子くん以上に必死で弁明しました。


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


「あ!棗ちゃんじゃん!ほら、真ちゃん!」


「なんなのだよ。……ああ、お前か。松岡先輩と付き合ったそうだな。おめでとう」


「あ、そんなこと大ちゃん言ってたな!おめでー!」


どうしてだろう。嬉しくない。


『それ、もう誰か言ってたら言っておいてくれる?付き合ってないから。それ、デマだから』


「え?でも大ちゃん言ってたぜ?見たーって不機嫌そうにさ」


もう無視。


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


―prrr……


『はい?』


〈棗ちゃん!?凛ちゃんと付き合ってるってホントのホント!!?〉


〈もう、お姉ちゃんって呼んでもいいですか!!!?〉


『渚と……江ちゃん?』


〈そ・れ・よ・り!付き合ってるって本当ですか!!!!?〉


〈もうー!江ちゃん五月蝿いよ!〉


〈渚くんだって五月蝿い!!〉


『どっちも五月蝿い』


これはなんだ、誰が知らせたんだ?凛?いや、そんなわけ無い。犯人は真琴?
いや、真琴はウブだからそんなことしない。寧ろ密かに喜んでお祝いしてくれるタイプだ。
きっとハルだ。気が動転して渚か竜ヶ崎くんに電話をかけてしまったんだろう。


『違う、それはデマだ。江ちゃんには悪いけど付き合ってないよ』


〈〈ええー!〉〉


『ええー、じゃないからね』


それからこっちの大学の水泳部はどうだとか、皆がスゴイだとか聞かされ、江ちゃんに至っては筋肉話。


『江ちゃん。うちの大学にすっごい筋肉質の子いるけど、写メって送ろうか?』


〈ええ!是非!〉


そこで会話は終了した。
紫原くんと黄瀬くんは昨日学校に来ていなかったらしい。だから話は知らなかったんだって。


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


さて、今日は凛のお買い物にお付き合いしなくちゃいけない。


「棗ちゃーん、今日の午後空いてない?ちょっと付き合って欲しいなぁ、なんて?」


『あららー。残念、今日は凛のお買い物に付き合ったげなきゃいけないの。ごめんね、さつきちゃん』


可愛い可愛いさつきちゃんの頼みを断ってきたんだから嫌になる。
全く……残念。


……ていうか凛、昨日ハルに近寄るな宣言されてたけど大丈夫なのかな?


「棗」


『こんにちわ、凛。じゃ、さっさと行ってさっさと帰ってこよう!』


「ん」


えらく今日は喋らないんだなぁ。
なんか久しぶり、凛と二人で買い物行くの。大概ハルとか誰かしら一緒だった。


『あ、凛』


「何だ?」


『今週の日曜日、江ちゃん来るの知ってた?』


実はさっき聞いた。お兄ちゃんとその筋肉(大輝)に会いに行きます!と言われたので。


「は!?聞いてねえぞ……あいつ」


流石江ちゃん。
お兄ちゃんにはなんにも言わずに来るんだ……全くダメじゃん。後々怒られるのは凛何だけどね。

凛が江ちゃんに対して怒ってるうちに江ちゃんも凛のこと逆ギレみたいに怒るんだよねぇ。


「はぁ……ったく」


『まーまー。ほら、行こ行こ』


駅まで歩いて数分。でも夏だから暑い。蝉もうるさいし……正直外に出たくない季節ナンバーワンは夏だ。
まぁ、プールは気持ち良し楽しいからいいけどね。
と思ったら連れてこられたのはドデカイバイクの前。


『え、何これ……凛の?』


「そっ。ほら」


ヘルメットを頭にかぶせられる。自分でできると大見栄を張ったが結局できなかったりする。そういう、モノに無頓着だった私はモノの扱いがわからない場合が多い。
だからだろうか、部屋に余り物がないのは。


『あ、ありがと。いつの間に買ったの、こんなおっきいの』


「ついこないだ」










「お前乗せたかったから」




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