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入学して3ヶ月。案外すぐに終わった。
まぁ、その間にテスト満載で死ぬかと思った。で、今来てるのは外にある掲示板だ。学部ごとに別れている掲示板。そこに紙が貼られているのだ。名前が並んだそこに私の名前はなかったけれど、見覚えがある名前が1つ。


―青峰大輝


だった。



「もう、大ちゃん絶対かかってるよ!」


『さつきちゃん、かかってるかかってる。完璧なまでにかかってる』


その紙の意味は再試。優しいものだ、再試をしてくれるなんて。


『再試かかってるよ、大輝。やっぱ君は阿呆峰だ』


「うるっせぇ。ちょっとテスト中寝ちまったくらいで」


『何?E?』


「Fだよ。どうしよう!」


この学校はレポートのようにA〜Fと点数で再試が決められるという不思議な大学である。
いつもの出席日数+テストの点数がA〜Fで決められるのだ。E以下は必ず再試になる。


『うわ〜、あんたどうすんのさ』


「……頑張るしかねぇだろ」


『F……見たことない』


ハルで悪くてもCだった。いつもBだ。Aはなかなかとってこない。私も今回はB。さつきちゃんは私と同じB。黒子くんはC。
だって大学の一年って出るのは教科書丸々だからね。

覚えるのはどんとこいだ。


「俺の代わりにお前出てくれよ」


『……私にまた勉強しろと。やだよ、面倒くさい。それに私そこまで黒くないから代わりなんてできないよ』


「峰ちーん、どうだったー?」


「げっ、紫原……」


『げっ、はないでしょ。紫原くんどうだったの?』


「俺?Aに決まってるじゃん」


『うわ。凄い』


どうやら紫原くんは頭がいいみたい。製菓学科行った男の子は少ないけれど凄いな。羨ましい。

実習に入ったら絶対太る自信はある。


「ナツちんは?」


『私?B』


「へぇ〜、そう言えば赤ちんはA+みたいだよ」


A+は幻に近いらしい。
流石は赤司くんだ。取れる人が近くにいたことに驚きだ。
いや、知ってる人にいるんだけどね。過去にA+取った人。児童学科で。


「そうそう!凄いよねー赤司くん。それに比べて大ちゃんはぁぁあ!」


「しゃーねーじゃん。眠かったんだよ」


大輝の監視役として彼をこの児童に入れたわけだけれどテスト中はさすがのさつきちゃんでもどう仕様もない。


「はぁ……」


「大輝」


「っ!」


顔をサァ、と蒼くして震えながら声のした方を見る大輝。
そこにいたのは言わずもがな赤司くんだ。


『こんにちは、赤司くん』


「ああ、こんにちは。さて、大輝。覚悟はできてるね?」


綺麗なでも目が笑っていない笑みを浮かべて大輝の頭を鷲掴みする。


「ねぇ、Fって本当?」


「ほ、ホントだよ!」


「そうか……大輝は合宿出れないかもね」


『合宿なんてあるんだ』


「バスケ部全員でね」


紫原くん、相変わらずよく食べてるな……あ、そうだ。


『紫原くん』


「何?」


『新作、食べる?』


道歩いてたらチラシもらったんだよね。そこに入ってた。
変わったものを配るものだ。


「食べる!」


『そりゃあ良かった』


―ティラミス味new!


うん、何かこう……こういうサクサクした塩味全開のお菓子にそういうおしゃれな食べ物は合わないと思うんだよね。
こないだ見たものはショートケーキ。その前は宇治抹茶。


この会社はホント、チャレンジャーだと思う。


「ちょ、待てって!真ちゃん!」


ん?


「遅いのだよ!」


おお、語尾でわかる。緑間くんと……誰だろう。何か久々に髪色が黒の人見た。


『こんにちは、緑間くん』


「ああ、七瀬か。こんにちはなのだよ。ふんっ、やはり乗ってなかったか。つまらん」


「ちょ、だから俺判定Cだったってば!」


「信じるか、俺は自分の目で見たものしか信じない!」


「ブッフォ!ひでぇ!!」


彼の言葉の後ろにはきっとwが沢山ついている事だろう。笑って緑間くんの背中をバシバシ叩いている彼は勇者だと思う。


「あれ真ちゃん、この子誰?珍しく黒髪じゃん」


あ、おんなじこと思った。
いやね、就活してる人は黒だけど大体1回生は染めることに興味を持って染める人が多いんだよね。黒髪はレアだったりする。


「ああ、和成か」


「お、部長じゃん。こんちゃー」


「ああ。真太郎も、こんにちは」


「こんにちはなのだよ」


「でさ、赤司ぶちょー、あの子誰?桃井ちゃんの隣に立ってる」


明らか警戒されてないか?気のせい?
何かしただろうか?


「あの七瀬先輩に似てんじゃん?」


『ハルのこと?』


「うおっふぇい!」


オッサンのくしゃみか、そう突っ込みそうになるのをぐっとこらえた。それは笑いもこらえるのと同じだ。

私はハルがベースだ。あの無表情と同じことをするのは容易かったりする


「怖っ、むっちゃくちゃ無表情だ!」


酷い。
バシッと高尾?さんの頭から響いた。高尾さんの後ろにはガングロ巨人が立っている。どうやら叩いたようだ。


「いてぇえ!大ちゃん何すんの!?」


「うっせぇ」


「和成、女性に向かって無表情はないだろう?ねぇ、真太郎」


「ああ。そうなのだよ。それに……」


「棗?どこだ?」


「兄が来たら張り倒されるのだよ」


緑間くんの中でハルはどういう印象になっているのでしょうか?
張り倒すってひどい人になるじゃん、ハルが。
てか今、ハルの声が聞こえた気がする。


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