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少し、眠っていたのだろうか。
外を見ると茜色だった空は紫へとグラデーションになって変わっていっている。


「寝てた?」


「うん。おはよう」


「よく寝るな、お前」


ポンポンと頭をなでられる。それから扉のほうを見るとなんとナイスタイミングで自分は目覚めたのだろう。
カラフルな頭と、兄の顔が見えた。


「……棗ッッ!」


殴られる、そう思って目をつむった。でも来た衝撃は全然想像とは違って。


「……え……?」


「心配、した」


抱きしめてくれてる腕は震えていて、声までもかすかに震えていた。
肩に埋められたハルの顔はどうなってるのだろうか。生暖かいこれはハルの涙?


「ハ、ル……?」


「ごめん。……気づいてやれなくて」


家族ってやっぱり大事だ、改めてそう思わされた。ダメだな、私も。大切な家族に心配かけて、泣かせてしまって。

いや、汗かもしれないけれども。


「私の方こそ、ごめんなさい」


抱きしめ返したその体はやはり震えていた。ハルの肩越しに凛の顔が見えて、その後ろに真琴の顔が見えた。


「来る?」


手を広げると真琴が来て私の頭を軽く叩いて一瞬抱きしめ離れていく。凛は気まずそうに私を視線から外した。
打ったことを、怒ってしまったことを後悔してるのだろうか。
だったら、今言おう。


「凛、ありがとう」


「え?」


「だって、あの時怒って言ってくれなかったら私はずっとあの日、あの場にいた選手たちに謝れなかった」


凛のおかげで私はあの時、スッキリできた。だから、そのお礼を今したのだ。腕の中でハルがいるのが、微妙かもしれないけれど……


「だからありがとう」


ハルも真琴も離れていく中周りを見渡す。

ああ、私はみんなに何て顔をさせているんだろう。そんな顔をさせるつもりはなかったのに、なんてヒロインぶってはみたけれど、みんなのそんな顔は嫌いなんだよ。
凛みたいに笑って。


「みんな、心配かけてごめんなさい」


「ホントだぜ、まったく……」


「うん、ごめん」


さぁ、揃ったことだし、話そう。さっさと終わらせてしまおう。


「遅くなりました、話すよ」









。。。。。

私の作品は大概男の人は泣いてしまいます。恋愛ものでなくなってしまってすみません。もうしばらく友情と家族愛を見ていってくださると嬉しいです。


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