2携帯の振動で起きた。さつきちゃんだ。
『え……』
おーい、お見舞い着たぞっ☆開けて〜
お見舞い?誰の?
私か。てか星かわいいな、おい。
マンションなのでホールに入るためには鍵が必要になる。もしくはこちら側から開けてあげる。今は後者。
体の怠さもなくなった為安易に立ち上がれた。
『さつきちゃん、どうぞ』
「ありがとう」「ああ?開いたのか?」「みたいですよ。ありがとうございます、七瀬さん」
黒子くんとさつきちゃん……それに大輝?
着替えなきゃ、寝間着のまま……。
『あ、やっぱ立っちゃダメだ……フラフラ、する』
着替えるどころじゃないや。寝よう、大人しくしてよう。ダメだ、死にそう。
碓か昔凛が
風邪だって拗らせれば死んじゃうんだぜっ
とか言ってたな。あの頃は可愛い、凛ちゃんだったのに。
ちゃん付で、しかも女の子できっと通ったのに。今や大きく生意気になっちゃってさ……。
『ぅ……げほっ、こほっ』
マスクしとこ。彼らに移しちゃ大変だ。
寝間着のままで、すみません。
「棗ちゃぁーん!」
「さつき、仮にも病人なんだから静かにしろ」
「青峰くん、仮じゃないですから。お粥食べれたんですね?」
部屋に入ってきた瞬間このザマだ。うるせぇ……と思うのが普通だと思う。
さて、黒子くんが一番話せそうかな?
『うん。ごめんね、お見舞い何か来てもらっちゃって……』
「いえ、僕らが勝手にしたコトですから。気になさらないでください。ゼリーとか買ってきたので冷蔵庫に入れときますね」
「あ、私も行く」
ああ、手に何持ってるのかと思ったらそれか。
気を使わせてしまった……。というか怠いな……。また熱上がってきたかな?
『ぅ……げほっ、ごほっ、ぅあ……げほっ』
「おい、平気かよ……?水いるか?取ってきてやるから」
やだっ、行かないで!
ハル!
『行くなっ!』
「は?」
『一人に、するな…………お願い、だからぁ』
部屋から出ていこうとした青峰の手を掴んだのは紛れもない棗だ。
熱が上がったせいで息も上がりしんどい為に目に涙を溜める。
「てめぇが悪い」
『ん……っは……』
「ばーか。淋しいなら傍にいてやるよ」
『……』
きっと目覚めたら青峰に何されたかなんてきっと覚えてないんだろう。
「(唇、柔らけぇな……)」
キス、されたなんて。
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