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『ただいまー』


「……買ってきたぞ」


ちゃんと忘れてないよ、本来の目的は水を買ってくるというもので約束してたからちゃんと片手に数本私は持ってるし、大輝も片手にペットボトルを大量に持ってる。
ちなみに右手は繋がったまま。


「あれ?大ちゃん……その手……」


「あ?コイツが迷いそうだったからな」


『ん、そんなことない』


「ある」


『むぅーっい……凛、痛いよ』


ブチっと紐をちぎるように私と大輝の腕を左右に引っ張った。
大輝も顔を歪めてる。


「青峰ぇ……」


「んだよ、松岡センパイ=v


きっと彼が先輩という時はイラついている時だ。だってさつきちゃんが言っていた。
相当痛かったらしい。


『凛、大輝に謝って』


「は?今……」


『痛かったもん』


ちなみに私もお怒りだ。だって、引っ張ることなかったよね?痛いじゃん。


「いや待て、どうして棗は青峰を名前で呼んでんだ?」


「んだよ、松岡。棗が呼んだら悪いか?」


そういえばさっきも思ったんだけど七瀬妹から昇格したよね。名前になってる。
ちょっと嬉しい。

ん?なんで嬉しいんだろね……ま、いっか。凛とかに名前で呼ばれた時に嬉しかったし。


「お前もいつの間に棗のこと名前で呼んでんだよ」


『別にいいでしょう?』


「そうだ、凛。青峰は棗の他人行儀な呼び方が嫌だったんだろう?違うか?」


「そうだよ」


「凛、お前だってそうだったろ。……松岡くん、て嫌がって名前で呼ばせたよな。他人行儀だからって」


よくハルそんなの覚えてるな……。
しかし、それにしても凛どうしてあんなに怒ってるんだろう。

あ、お弁当不味かったのか……。


『お弁当、不味かったかな……』


「え?ううん。いつもどおり美味しかったよ」


『……ほんと?真琴は優しいから……』


「ホントだって」


にらみ合っている二人を置いて仲良く黒子くんと話している真琴に感想を聞くとそうでもない。
真琴の残っているお弁当を貰うと確かに不味くない。むしろ、上出来 。今回も成功だ。

じゃあ何で凛の機嫌が悪いんだ?


『真琴……どうして凛はあんなに怒っているんだと思う?』


「えっ!?わかってないの?」


「……鈍ちんだ〜」


え、紫原くん?


「鈍感、ですね/だな」


黒子くんに赤司くんまで!


「なんか、凛ちゃん可哀想っスね」


え、きーちゃんまで何を言っているんだよ。いまいちわかってないんだけど……どうしよう。
緑間くんをちらりと見れば買ってきた水を飲んで、こちらを見ようともしない。


「あー、棗ちゃん棗ちゃん!」


『ん?』


「お弁当、美味しかった!それで……今度……教えてくれないかなぁ……」


『え?料理?……いいけど』


「本当?」


パァ、と顔を輝かす彼女が可愛くてつい、引き受けてしまう。
きっとかなり大変だろう。

というか……味見、してないのか?


「ありがとう!」


さつきちゃんは可愛い。とてつもなく。やっぱり好きだなぁ、このこの笑顔。
グリグリと私のお腹に頭をうずめてくる彼女の頭を優しく撫でる。

可愛い……小動物だ。


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