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赤司くんの携帯が鳴った。赤いカバーをしてあるスマホだった。


ちなみに私は青いカバーをしている。


「ああ、わかった。そっちに向かうよ」


きっと、会話の内容からして食べれそうな場所が見つかったのだろう。
11人も座れる場所があるのは流石だと思う。


「場所が見つかったそうだ。行こう」


「う、うん。俺さっきから震えが止まんない」


「……黒子」


「?はい」


「お前は桃井の料理を食べるのか?」


「……ええ、そりゃもう。食べ過ぎて最近は胃袋が強くなった気がします」


「そうか。ドンマイ、だ」


「ありがとうございます……」


泣きそうな黒子くんの肩をポンと叩くハル。
ハルは散々私の実験台になってくれたからそこそこ胃は強いはずだ。でも、私は流石に保健室送りとかにはしたことない。ベッド行きもなしだ。


「棗」


『ん?何ー?』


「無理して食うなよ」


ハルは優しい。
たまに無表情で怖いって言う人がいるけど付き合ってみたらそうでもないんだよ。


学校でもハルは氷結の王子様とか痛い名前で呼んでいるファンらしき人がいるけどファンやり直せっつの。っていつも思う。


「お前が一番例外の味覚と胃してんだから食えよ、ハル」


「例外の味覚と胃は持ってないぞ。至って普通だ」


「何処がだっ。パンに鯖乗っけるやつの味覚は例外に入るだろ!」


「凛もやってみろ。あれはうまいぞ。鯖……」


『そうだよ、あれ美味しいよ。今度家来たとき食べる?』


「絶対無理だ。見た目からして無理」


『ひどーい』


「あ、棗ちゃーん!赤司くんー!」


『あ、さつきちゃん……』


「えへへ、見つけたから食べよ?一杯あるからね!」


うん、今はさつきちゃんの顔が小悪魔に見えるのは私の気の所為?
ううん、多分違う。絶対気の所為じゃない。


「いっぱい食べてねー!」


椅子を引いて座った時にはさつきちゃんが目の前にいて大きな重箱みたいなお弁当箱をあけていた。


『あれ……』


「何?」


『あ、や、なんでもない!』


驚いたのはみんなだと思う。だって見た目が普通なんだもん。普通にお弁当って感じだから。
……何処が不味いんだろう?別に美味しそうだけど。


「いただきます」


みんなが見守る中青峰くんが恐る恐る唐揚げを指でつまみあげ、口に含んだ。


「お、俺……茶ぁ買ってくるわ。待ってろ」


明らかに顔がヤバイって顔してるんだけど?
真っ青で走っていったんだけど。


あ、これ私無理かな?


『青峰くんだけじゃ持てないだろうし私も行ってくる』


「え、棗ちゃん!?」


さつきちゃんの声が後ろから聞こえたけれど気にせずその大きな背中を追いかけた。


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