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『何よー!』


「はっ、怖いんだろ?」


『怖くないよ!』


「嘘付け」


『そんなことないもん!青峰くんのが怖いんでしょ?私こういうの平気だしっ』


「おい。やめろって」


「そうだ、青峰。見苦しいのだよ」


「だってこいつ震えてんだぜ?怖いんだろって!」


『そんなことないってさっきから言ってるでしょ?』


「はぁ……取り敢えず、乗りませんか?」


別に、怖くなんかないんだよ?ただね、こう……寒気がするっていうか……何ていうか。


ジェットコースターが怖いとかそんなんじゃないから!


「とりあえず行くぞ」


『……うん』


そんなことを言いながら一番近くにいる青峰くんの服の袖をガッチリと握った。


伸びるとか言われても離してやらないからね。


「伸びる伸びる伸びる!」


『う、うるさいなぁ!』


「いや。やっぱ怖いんじゃねえの?」


七瀬棗、ジェットコースターが好きではありません。苦手です
。別に怖くないから。


そうだ、プールの飛び込み台とか思えばいいんだ。もうちっさい子じゃないんだから。


『……ねぇ、青峰くん』


「んだよ、ビビリ」


『そこは置いておいて。あのさ、となり乗ってよ』


「は?七瀬兄じゃなくていいのか?」


『いいの。私、ブラコンだけどそこまで行ってないから』


「自分で言うのか……?まぁ、いいけど」


『で、ちゃんと乗れたらビンタさせろ』


「……棗ちゃん意外と暴力的っスね」


『きーちゃん、黙れ』


「はい」


きーちゃんは放っておこうと思うんだよね。だっていいじゃん、別に。
あんなに馬鹿にしたんだから。のれたらそれ相応のモノもらわなきゃ。


『だから、ね?』


「いや、可愛く言ってもだめでしょ」


「紫原……だよな」


「峰ちんはビンタより殴る方がいいと思うよ」


まいう棒を食べながら言うことじゃないと思うんだ、紫原くん。


「あ、それとも俺がひねり潰そうか?」


『あはは!紫原くんがやったら青峰くん死んじゃうよ』


「峰ちん殺すっwww」


「いや、後ろにwwwつけても意味ねぇから!ばかか、てめーらは」


「青峰くんに馬鹿と言われくありませんね」


「はは、ドンマイ青峰」


「大輝が馬鹿と言えるやつはこの世ではもう終わってる気がする……」


みんなにボロクソに言われ始めた青峰くん。
まぁ案の定彼は怒るの。で、それを面白くなさそうな顔で凛が見てるの。なんで嫌いなんだろう?


青峰くんのこと。


『りーん』


「棗……青峰といたいんじゃねぇのかよ?」


『そういうわけじゃないよ。ただとなりに立ってたのが青峰くんってだけ』


「ふーん」


自分から言っておいて面白くなさそうにそうつぶやいた凛は私の頭に大きな手をのっけた。


「峰ちーん、早くしなきゃあの凛って人に取られちゃうよ?」


「本当に。大輝、君はまだ自覚していないんだろう?」


「あ?何をだよ」


「はぁ」


なんて会話が後ろから聞こえた、なんてことはない。聞こえてないよ。
これは赤司くんがずっと後に教えてくれる事実だから。


『ねぇ、凛ー?』


「ん?」


『凛って好きな人いないの?』


「「「ブッ!!!!?」」」


真琴と凛とハルが同時に吹き出した。何、汚いなあ。


『どうかした?』


「な、何でナツはそんなこと聞くのかな?」


真琴、笑顔引き攣ってる、引き攣ってる。
怖いからやめて。


「お、おおおおお俺は別に好きな奴なんていねぇよ?」


『あ、そなの?』


「何でいきなり……」


『いや、彼女とかいたらこういうの、そういう子にしてあげればいいのに……って』


「……いいんだよ、俺が好きでやってんだから」


『そ?ならいいけど……』


でるならばそういう事を学校内でしない方がいいと思うの。
困るのは凛だと思うから。好きな人ができても私にこんなことしてたらダメだと思ったから。


『あ、青峰くん!ほら、もうちょいで乗るから!』


そう言って青峰くんの横に並ぶと凛みたいに頭に手を伸ばしておいてきた。


『……みんなして私を縮めたいのか?』


「いや、そうじゃねぇから」


『もう、チビって感じだから頭撫でないでよー。嫌じゃないからいいんだけど……』


そう、嫌なんかじゃない。むしろ小さな時からやられてるから嬉し言っちゃ嬉しい。でも、この年になると恥ずかしいって言うか、ね。


いや、本気で恥ずかしいのよ意外と。
彼氏でもない人にポンポンされると恥ずかしい……。


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