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歩きながら本を読むのってダメだと思うんだよね。


ぶつかっちゃったんだもん。


『っわ!』


「っ……大丈夫ですか?」


ぶつかったのは男の子なだけあってよろけて尻餅をついたのは私だった。よかった、今日スカートは履いてっちゃいけないっておは朝が言ってた。
別におは朝を毎朝見てるわけじゃないんだけどね、たまたま見たから。


『ごめんなさい、気づかなくて……これからは気をつけるよ』


「いえ、僕もぼぅ……としていたので……すみません」


手を伸ばしてくれたので掴むと引き上げてくれた。
何か全体的に影の薄いっていうか、何ていうか。

ああ、儚い!それだ、それが一番合う。


「それは、今日の講義の……」


『あれ、学部一緒だったのかなぁ?』


全く記憶にないんだけどなぁ。
私なら当たり前か。


『児童のほうだよね?』


「はい。青峰君とさつきさんも同じですよ」


そう、私は児童の方にいっている。青峰くんがいるのは謎。
さつきちゃんに聞いてみるとさつきちゃん曰く監視しやすいから、とのことだ。でも、よく入れたなぁ。
青峰くん、バスケの推薦があったのなら体育系の方行ったら良かったのに。


『子供、好きなの?』


「はい!」


『そっか。私も好き』


多分いま顔はすんごい笑顔だと思う。私は基本兄のハルに似てか表情がちょい乏しい、らしい。
んな事はない筈なんだけどな。


「あの、あなたは七瀬さんですか?」


『あれ、知ってる?』


「さつきさんがよく言っているので」


『さつきちゃん……』


さつきちゃん、よく出てくるなぁ今日。何かあっただろうか。まぁ、彼女は確かに美女だけどね。


「はい。僕、バスケ部なんです」


『……黒子さん?さつきちゃんの彼氏さん』


「はい」


あらま。


『あはは、あ、時間やばっ!今度水泳部にも来て!さつきちゃんも一緒に!』


この後、プールだったのを思い出して本をカバンの中に入れる。
黒子くんを振り返ってニッコリと笑えば彼も少しだけ笑って手を振ってくれた。

ハルみたいだな、って思ったこの日。

ちょっといい人にあった。
ハルもあんな風に爽やかに笑ってくれたらいいのに。


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