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寝落ちしてしまった私はそのままぐっすり次の日の朝まで寝ていた。ハルに起こされてようやく目が覚めたのだ。疲れていたのだろうか。
ちゃんと話はしていたらしいし、良かった。それと凛の話もしておいた。ハル曰く、凛は私を八年も思っていてくれていた。私の口から出たのはそっか、その一言だけ。随分冷たかったのかもしれない。でも、私にはその一言しか出なかった。


あの日、凛がちゃんと私に言っていてくれていたら、いや、違う。私が言えば良かった。


でも耐えられる?電車で会いに行ける距離じゃないんだ。遠距離すぎるのも、ダメだっただろう。きっとそれに気付いてしまった私は最低だ。
多分どう足掻いても、私はもう、凛に恋することはない。それは、そういう定めで、運命だったんだ。


ただ、凛がどこにも行かなかったらきっと私たちは好きあっていたかもしれない。


どっちにしろ、どうしよも無かった事だ。凛は夢に向かって突き進んでいる。だから、私も前を向かなければならない。


「……驚かないんだな」


「うん。そうだね、あんまり……」


「俺はてっきりお前も凛のことが好きだと思っていた。でももうそれは昔の話か」


「うん。私は……凛が家族みたいにしか見えないから」


「……そうか」


ハルは知っていた。そして少なからず応援していたことに代わりはないだろう。凛の行動の意味も言葉の意味も全てハルは知っていた。


「……俺が、」


「え?」


「俺が間接的に伝えていればお前らは」


―付き合っていたのか?


気が動転しているんだと思う。多分だけど……ハルは混乱してるんだ。
いつもならこんなこと言わない。


「うん、そうかもしれないね。でもきっと、すぐに別れてた」


例えハルが私に凛がお前のことを好きだと言ったとしても、あの時私達は小学五年生、六年生。恋愛なんてしてもすぐに終わるに決まってる。ましてや、遠距離なんて尚更だ。


「私は小学生の頃凛が好きだった。でも、彼がオーストラリアに行ってしまった時から時間がかかり過ぎた。もうそんな感情、凛には持てない」


「そう、か」


わかってるよ。ハルは少なからず凛のことを応援していたことに代わりはないだろう。
でも、もうそんな感情凛には持てない。



「今日の祭り、行くか?」


「うん、行くよ」


「……誰と」


「…………大輝」


妙に納得したような顔をした兄は笑って私の頭を撫でて自分の部屋に引っ込んでいった。
何故ここまで人間関係というものは難しいんだろうか。面倒くさくて、簡単に崩れ、治すことができる。でも、余にも拗れすぎれば治らないそれ。


そういうところは面倒くさい。





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