「いや、変態菌がつく」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「#name1#さーん!」
「高尾くーん!」
「やめろ、高尾が汚れる」
「え、まって大坪くんそんな私汚い!?」

ぎょっとして#name1#は大坪の肩を掴む。両手を広げて飛びついてきた高尾を受け止めようとした#name1#の首根っこを掴んで止めたのは大坪だ。その光景を見てゲラゲラと高尾は腹を抱えて笑った。

「いや、変態菌がつく」
「私変態じゃないと思うんだけどっ?」
「もう宮地にストーキング行為をしている時点で」
「誰がしてるの!?私の清志くんに!」
「もういいよ、その件。お前の頭の中覗きたいわ。その天才の思考の中にどんな阿呆が埋もれてるんだよ」

木村のその言葉に首根っこを掴んでいる大坪も頷く。宮地はただただ、ため息をついて頭を抱えるのだった。

「なぁなぁ、#name1#さん」
「んー?」

大坪に解放してもらい息を整える#name1#。そんな彼女と同じ目線の高尾はひそりと耳元で呟くのだ。

「緑間も連れてっていいっすか?」
「おや、どうしたの、珍しい」
「いや、何か教えて欲しいところがあるらしくて。それが二年の内容とか言い出すんすよ」

その言葉に一瞬固まる#name1#。そして吹き出してから緑間の頭を軽く叩く。その行動に驚く緑間。身長からして頭を叩かれる、ましてや女子にされるとは思ってなかったのだろう。目を見開いたのだった。そして少しだけ顔を赤く染め#name1#からそらす。

「え、み、緑間くん?」
「何故叩くんですか……」
「いや、一年坊主が何テスト前に範囲外勉強してるのーって言う意味で叩いたんだけど、ダメだったかな?」

緑間の傍らで声を出して笑っている高尾は腹を抱えていた。緑間の反応がどうやら彼の気に召したらしい。ドツボにハマって笑っていた。

「今から来るんでしょう?おいでおいで。と言っても私はそんなに教え方上手くないけどね」
「いや、わかりやすいっすよ〜」

その会話についていけないもの約3名。高尾は移動教室で移動中に会った際、部活を見に行くと言っていたのに先程と少しだけ会話が違うのだから。それを見越して#name1#が説明するのだ。

「部活を見に来るっていうよりは私が勉強を見るっていった方がいいね」
「まぁ、そうっすね〜」

そうして、#name1#は帰る準備をするために教室に引っ込んだのである。高尾は#name1#に緑間のことを話すために三年生の階に来ていたのである。勿論、帰る準備を万端にして。

「いつも思うんだが」
「何だ、大坪」
「宮地も思うだろう?あいつ、よくモノ落とすよな」
「ああ、授業中とか一回は筆箱やら教科書やら落とすな」

教室の入口から帰る用意、もとい部活に行く準備を#name1#本人はしているのだろうが、手に持ったモノをポロリポロリと落としていくのだ。

「あ、辞書」
「いったぁ……!」
「うわ、もう何してんすか。見てらんねー」
「高尾くん、メシア」
「それだけでメシアになってどうするんすか、全く。てか、メシアやめて!」

見守っていた大坪宮地木村の横をすり抜けて足を摩っている#name1#の手伝いをしに行く高尾。妹がいるからか、面倒見がいい。眉を下げ困った顔をしながらも手伝ってやるのが彼の優しさなのだろう。

「ほら、」
「ああ、ありがとう。高尾く……清志くんんんんん!!?」
「いや、何でそんなに俺驚かれてんの」
「清志くんが触った教科書……」
「宮地、そいつから一定の距離を取れ」
「うわー、見ろよ、大坪。#name1#ハァハァしてるぜ」

真剣な顔をして宮地の肩を掴む大坪に、ハァハァ言っている#name1#に引き気味の木村が一歩下がって距離を取る。
宮地はというと顔を引きつらせ頬を痙攣させて口元を押さえていた。

「なぁ、#name1#さん」
「何、高尾くん」
「それだけは女としてダメだと思う。他はいいのに」
「ん?それどういうこと?」
「そのストーカーっていうか、宮地さん一直線!ていうの?辞めたらどうっすか?まぁ、一直線っていっても歪んでるけど」

肩をすくめながら緑間に同意を求めるように緑の彼を見上げる。いつの間に横に来ていたのだろうと疑問に思う暇もなくうなづいた彼に少なからず#name1#はショックを受けていた。

「後輩に言われて初めて自分がストーカーだと気づく馬鹿な構図だな」
「ああ。宮地、起きろ気絶すんな」
「うぇ、だってお前……あれ顔見られながら言われてみろよ。ゾッとするどころか吐き気を覚えるぞ」
「清志くん、もっと言ってほしいって?」
「立ち直り早……」

しかし、高尾の言葉にも緑間の高尾に対しての同意も彼女にとってはどうでもいいらしい。少しばかり傷つこうが#name1#にとっては宮地からの言葉だけが耳に入るのだろうか。吐き気を覚える、なんて言われた日には嬉しくてニヨニヨしてしまうのが#name1#である。

「言ってねぇよ!轢くぞ!」
「もう、だ・か・らっその罵りさえも私への愛だと考えるともう私、嬉しくて嬉しくて」
「なぁ、緑間」
「何だ」
「俺ちょっとこの人が何でこんなに宮地さんへの愛がデカいのか気になるわー」
「妙なことに首を突っ込まない方がいいのだよ」

一年にそんなことを言われているとは#name1#は知らないだろうし、さして興味もないのだろう。
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