「2センチになっちゃった」
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最近入ってきた一年生走らないかもしれないが知る人ぞ知る学園の名物が今日も繰り広げられていた。

「ねぇねぇねぇねぇねぇねぇ、清志くん」
「近づくな、キモい、煮るぞ」
「もう、照れ屋さんなんだからっ」

移動教室の際の光景である。
校内で女子の中では校内一大きい#name1#とまた、その隣にいるのは顔の良い、大きいイケメンなのだから目立つのだ。

「#name1#、宮地は照れてないと思うぞ」
「木村くん、そんなこと言って〜照れるっ」
「まて、どこに照れる要素があったんだ」

頬を両手で包みクネクネと動く#name1#を見て、もう諦めモードに入っている大坪は宮地を同情の目で見た。

「あ、大坪くん大坪くん」
「何だ?」
「同情するなら金をくれ」
「木村ー軽トラ」
「おう、行ってくれ。思いっきり」
「清志くん顔顔。笑ってるのに笑ってないよー」

バスケットボールを掴む時のように#name1#の頭を片手で掴んでいる。痛いのか、ニヨニヨしながら笑っている。嬉しいのだろう。

「あ、清志くん」
「ん」
「何でもない。でもね、その、今日部活で使ったタオルって」
「やめてくれ、もう嫌だ。使用済みをどうする気なんだよ」

木村の静止など耳に入っていないのか、そのまま言葉を続ける#name1#。

「私の部屋に飾っとくの」
「お前ん家一回行ってみたいな」
「ごめんね、大坪くん。私初めては清志くんに捧げるつもりだから」
「廊下で普通に下ネタに走るのやめような」

大きい集団が廊下を渡っていくのみて道を開ける1年生。その中でも一際目立つのが#name1#である。
こんな性格をしてはいるが美人、に分類される容姿なのだから。
これぞ、残念な美人である。

「それよりも、」
「ん?」
「清志くんは童〇ですか」
「もうやめような、というかやめてくれ」

やはり、静止を入れるのは木村であるが、その言葉に全く聞く耳を持たず話は続く。

「お前には恥じらいというものがないのか、ドMノッポ」
「一応あるけど……」
「ちなみにどこらへんだ?」
「大坪くんったら、今日は積極的だね。私に惚れたの?」
「#name1#、もう喋らなくていい」

殴らない大坪の代わりに容赦なく持っていた化学の教科書の角で#name1#の頭を叩く宮地。素っ頓狂な声を上げながらも嬉しそうに頬を緩めるのだから殴った意味はあるのかと、やってから宮地は思うのだ。
ちなみにそれを理解しているから大坪は殴らないのだった。

「あれ、宮地さんじゃねぇっすか〜」
「……高尾か」
「あ、#name1#さんも。どうもでっす」
「高尾くんだ。相変わらずちっさいね」
「いや、俺普通だと思うんすけど。てかそんなに変わんねぇじゃん」
「ふん、確かに高尾は小さいのだよ」
「ちょ、緑間!ひでぇなぁ」

ポンと高尾の頭に#name1#は手を置く。

「こんにちは、#name1#先輩。ちなみに何センチですか?」
「こんにちは、緑間くん。私?高尾くんの身長知らないの?153センチだよ」
「誰にでもわかる嘘つくんじゃねぇよ。轢くぞ」
「やん、その罵りさえも私への」
「違うからな」

宮地に会いたいがためにバスケ部に顔を出しに行く
#name1#はバスケ部スタメンとは中々仲が良いのだ。

「俺より1センチ高いんすよね」
「あ、ごめん。それがね、高尾くん」
「はい?」
「2センチになっちゃった」
「マジかよ!?うわー、泣けてくるわ」

176センチの高尾よりも2センチ大きいのだから178センチあるのだ。しかし、伸びていたらそれ以上ということになる。

「なあ#name1#、いつまで成長期続くんだ?」
「木村くん、それ、私が聞きたい」

#name1#は小さくため息をついて頭を抱える。実は最近太ったからというわけではなく、身長的に服や靴がないというのだ。それには流石にその場にいた全員が同情した。女の子なのだからオシャレくらいしたいだろうに。

「まあそれは置いといて、#name1#さん」
「ん?」
「今日もまた行っていいっスか?」
「道場?いいよ、おいで〜」

高尾の言葉に宮地が首を傾げる。

「おい、高尾どういうことだ?」
「いや、#name1#さんテスト週間も道場で部活してるらしいんで、それを見に行くんスよ」

緑間はその言葉に納得した。昨日一緒に帰らなかったのは#name1#の部活を見に行っていたというわけだ。
予鈴が鳴り、#name1#たち巨人集団は高尾と別れて化学室へと向かうのであった。
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