「近づくな、黙れ、ドMメガネ!」
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「清志くん、おはよう!殴って?」
「はよ。朝一発目からそれか。とりあえずそれ以上近づくな、黙れ、ドMメガネ!」
「はぁ、照れる。その罵りさえも私への愛……」
「いやいや、違うからな。刺すぞ」
「もう、照れる!」

教室に入ってきた蜜蜂色の髪の毛をした長身の男に飛びついていくこれまた大きな女。長い髪の毛を揺らして行く彼女は頭を片手で押し返されながらも手を伸ばしている。

「宮地、お疲れ」
「いや、お疲れじゃねぇよ。助けろ。轢くぞ」
「無理だろ、こえーよ」

バスケ部の朝練で疲れているその体に飛びついてくるその女によって疲れが倍増させられるのだ。それを思うとため息が出る。額を押さえ、ため息をついた。

「清志くん、悩み事?お疲れ?私になんでも相談してね」
「多方お前のせいだろうな。宮地、#name1#、退いてくれ。通行の邪魔だ」
「大坪くん。それはどう言う意」
「そう思うなら大坪、コレ、どうにかしてくれないか?それか、木村、軽トラ」
「まだ運転できねぇだろうが」

そんなことを入口付近でやり取りする全体的に大きい集団。#name1#はその中で普通の大きさに見える。しかし、女子の中では校内で一番大きい。彼女自身それをコンプレックスとしているが何を言われても気にしない素振りをいつも見せていた。

「遮るだなんて……もう、清志くんってば照れ屋なんだから」
「いい加減にしてくれ……」

頬を包みうっとりする彼女は傍から見ると恋する乙女だった。恋されている側はかなり迷惑そうな顔をしているし、実際迷惑のようだが。

「お前ら邪魔なんだが?」
「あ、すみません」

担任の教師の声を聞き、いち早く頭を下げた#name1#。それから直ぐに宮地から離れ自分の席に戻った。
猫をかぶっているわけではなく、それが彼女の正確である。目上の者には目上の者への対応があるのだ。それを彼女は理解している。

「相変わらず、変人」

その行動を見て宮地はぼやく。そしてその言葉に頷く大坪と木村であった。
そして今日もまた、彼女のストーカー行為という名の愛が始まる。



「殴ってください。切実に」
「キモイ、頼むから消えてくれ」
「ねぇ、清志くん」
「あ?」
「このストローもらってもいい?」
「ぎゃぁぁあ!もうコイツやだ!」

ニコニコと前の席に座り後ろを振り向いている#name1#。宮地の前という彼女からするとおいしいポジションである。宮地からすると地獄のような場所であるが。
そんな彼女がカラになったパックを持ってストローを抜き取っていたのだ。しかもそれをお持ち帰りするという。

「#name1#、ストーカーというものを知ってるか?」
「知ってるよ、勿論」
「それに当てはまるとは思わないのか?」
「誰が?」
「#name1#が」
「大坪くん、誰?何組の誰さん?私と同じ苗字の人いたっけ?」

天然なのか、わざとなのか。それはわからないがとりあえず、教えてやろうと思った。お前がそのストーカーだということを。

「しかも、ストーカーしてるの?ダメだね、注意しなきゃ。捕まっちゃうよって」
「もうコイツダメかもしんねぇ……」
「宮地、俺も思ったよ」

木村が宮地の肩に手を置いて頷いている間に宮地の使用済みストローをティッシュにつつもうとする#name1#。

「てめっ、刺すぞ焼くぞ!」
「きゃ、照れるっその罵りさえも」
「その件はもういいんだよ!」
「ああ、私のストロー!」
「俺のだよ!」

そんな大きな彼女はストーカーということを自覚していませんでした。
ストローに向かって手を伸ばしている#name1#の頭を容赦無く叩く宮地だった。

15.03.01〜
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