『宮地愛が足らないな』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 理解はしていた。もちろん、こうやって離れていくことも。元々はそこまで行けなかったのを無理やりやっていたのだ。こうなったって仕方が無い。

「わぁぁぁぁああああああ!清志くんと離れたぁぁぁああああ」
「いやいやいや、テストの順位だろうが。何をそんなに悲しむことがある」
「だって!だって……いつも私が清志くんのしただったのに。麻生さんに取られるなんてぇぇぇえええ」
「おい、それ木村。木村だぞ、#name1#」

そう、離れたのはテストの順位である。いつもいつも宮地の下にいたはずの名前は一人別人の『麻生』という名前を挟んで下にいた。宮地とは名前がくっつけなかったのである。
そんな彼女は悔しさのあまり木村の頭を鷲掴み力を込めていく。木村の顔がどんどん蒼白になっていくがそんなのは当然#name1#の目には入っていない。ため息をついて話した頃には木村は痛みで床を転がって声にならない声を上げていた。

「へぇ……珍しいじゃん。お前、どうしたの?」
「……た」
「は?」
「テスト中寝た……」
「はぁ!?」
「だって眠かったんだから仕方ないじゃん!」
「俺に切れるなよ、自業自得だろうが」
「っう、ごめん」

宮地の挑発に目に涙を浮かべそうな勢いで声を荒らげた#name1#は友人達に肩を叩かれ一斉にこう言われた。

『宮地愛が足らないな』

「やめろ、#name1#にこれ以上変なことを吹き込まないでくれ!」
「やっぱり、そうなのかな」
「違うから。ただお前が悪かっただけだろ」
「いつも持ってる清志くんの使用済みグッズをお守りとして持ってくるの忘れたからこうなったのかな!?!?」
「いつもテストになったら持ち歩くの止めろ!」
「ごめん、無理」
「真顔やめろ!」

まず、そういう類のものを集めていたことに度肝を抜かれ、#name1#の頭を鷲掴んだ宮地の顔は般若だったが、そんなことは気にせず真顔で返す#name1#。それを見てクラスメイトは笑っていた。

「でもまぁ、寝ててこれは凄いよな」
「そうだな。宮地もそう思うだろう?」
「どれ寝てたんだ?」
「物理」
「へー。それ以外は」
「起きてたよ、勿論」

ため息をつきながら#name1#はかなりの落ち込みを見せた。やはり彼女の中ではどうでもいい事ではなく、ステータスだったのだから、仕方ない。宮地清志の上か下にいるのは絶対私という他者から聞くと意味のわからないことを守り続けてきて半年。それが決壊したのだ。落ち込むのは仕方なかった、もちろん#name1#の中では。

「でも、意外だよな」
「木村くんや、何がだい」
「お前、案外あっさりしてるからさ。こうやって宮地とかに執着してるのが意外だわ」
「えー?あっさりしてる?」
「あっさりっていうかなんていうか。わかんないけどさ」
「じゃあ言わないでよ、こっちもわからないじゃん」
「#name1#、さり気なく俺に近づいてくんなよ」
「え?ごめーん、聞こえなーい」
「刺すぞってしまった……」
「いいよ、どこでも刺してっ」

私の胸に飛び込んで来いとでも言わんばかりに腕を広げた#name1#は胸を張り目を瞑る。なぜ瞑ったなんてそんなツッコミは彼女には聞こえていないだろう。
危機を感じた宮地はその場から逃げ出そうと#name1#に背を向けたのだった。
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