「お前んち巨人じゃん」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ちょっと失礼します。
その声に何かと振り向けばカメラを持った人、その他大勢。カメラは#name1#とその隣の男性に向かって向けられている。

「えっ、と」
「こんにちは、ちょっといいかな!」

疑問形でないところが少しゴリ押しとでも言おうか。嫌だ、なんて輝いている人の顔を目の前にして言えるようなことでもなく、#name1#もそういうのが言えない人間だからか、隣の男性を見てうなづいた。

。。。

それから1週間後、#name1#は担任に呼び出されて一冊の雑誌を手渡された。今後からこういう事はしないように、と釘を刺されて。

「#name1#さん、前にも言ったけど……うちの学校はこういうことを良しとは思ってないの。部活動で移される、なんてことは名誉よ。けれどこれは少し違うわ」
「……はい」
「お家の事情で映るのも仕方ない。でも、それとこれとは別です。区別、できるわね?」

教師はとあるページを開き指で何度かそのページを叩いた。そこに写っているのは紛れもない、#name1#と一人の男性である。そこには身長の話や2人の身長差について、服のことなんてたくさんの事が書かれていた。それを見て#name1#は勿論頭を抱える。撮るのは構わないがこういう事はするな、と言っておいたのに。

「すみませんでした、以後気を付けます」
「時間取ってしまってごめんなさいね。みんなに聞かれてもあまり話を大きくしないように」
「はい」

そういえば前回もこんなことがあった、とふと#name1#は思い出す。その時はたまたま一緒にいた相手が断ってくれたが。
その相手が今目の前にいる宮地清志彼である。

「清志くんッ」
「近寄んな、ドM」
「殴っていいんだよ!」
「誰が殴るかど阿呆」
「えへへー」
「キモイ」
「むふふ!清志くん、好きよー」
「は?」
「へ?」

少しだけ、宮地の顔が赤くなる。本人は気づいていないようだったが、微かに赤かった。#name1#はそれに喜ぶどころかため息をついた。きっと宮地は他人から告白される度にこうやってほんのりと赤く顔を染めていると思ったからだ。

「ハァハァ、清志くん可愛い清志くん可愛い…」
「……キモさ増してねぇか、お前」
「も、ダメだよ。可愛すぐる。清志くんの今日のパンツはグレーですか黒ですかそれともあの可愛らしいパイナップル柄のパン」
「お前!なんでそれを知ってるんだ!!鳥肌立ったぞ!」
「私の言葉に清志くんが鳥肌立ててくれた……」
「恍惚とした表情うかべんな頼むから!」

まぁ、そんな彼女らに在校生の視線な集まるのは必然的であった。それから、何人かが小さな声で囁くように何かを言っている。それに二人は全く気付く様子はなかったがある1人の生徒が口から滑らせたのだ。

「ビッチの変態。尻軽オンナ」

ギャーギャーワーワー騒いでいた二人の動きがピタリと止まった。
その言葉が一体どこで言われたのかも誰が言ったのかもわからなかったが、とりあえず変態という単語が入っていたから#name1#も宮地も動きを止めたのだ。

「……誰だよ、今の」
「えっと……私なんか今言われた?」

変態と笑われることはあってもこのようにして周りを囲まれまるで今から集団リンチをするかのような顔をした者に言われるなんてことなかった#name1#は流石に焦った。

「だーれが尻軽オンナだよ。尻軽だったらもっとこいつの周りに男いるだろ。それに俺がこんなに迷惑するはずがねぇ」

怒気の孕んだ声が静かにその場に響いた。
誰も一向に話そうとしないが何かが廊下をすべるような音を立てて宮地の上靴に当たった。下を見て拾い上げれば女子高校生が好きそうな雑誌である。

「あ」
「んだよ」
「それ私が乗ってるやつだよ。ほらー、これ」

《素敵なカップルに話を伺いました!》

何てタイトルの下には#name1#ともう一人宮地よりもまだ身長の高い男と腕を組んでいる写真が載っていた。そんなカップルの話をしているものを軽々と宮地に見せたことに周りがざわついた。

「何か兄といたらカップルって間違われちゃって」
「兄……?お前兄貴いたのか」
「うん。ゲイだから女の子みたいに腕くんで歩くし、気にしたことなかったんだけどね」
「#name1#家はみんな高身長なのか」

あ、ゲイはスルーなのね。なんて心の声が漏れそうになった#name1#だった。

「父の家の血筋が大きいみたいでねぇ。ちなみに姉も大きいよ」
「お前末っ子!?」
「そこ驚くところ?」

また2人して仲良く(?)話し出したため周りのギャラリーが散って消えていく。またそれに気づかないふたりは相当である、と傍から見ていた大坪木村は思ったのであった。

「家に弟がいるよー。三つ離れてるんだけど、もう私より大きいかなぁ」
「お前んち巨人じゃん」
「それ、清志くんに言われたくない」
「俺の家は普通だよ。全員デカイわけじゃねぇし。それよりお前の家族見てみたいわ」
「え?お父さんと会ってくれるの?」
「まて、どうしてお前と話しているとそうなるんだ」
「やだな、家族に紹介するの恥ずかしい……」
「されてたまるかよ!」
「またまたぁ、そんな事言っちゃってさ!」

そしてお前ら相変わらずだと思ったのは大坪と木村、そして何事かと騒ぎを聞きつけた高尾と緑間であった。
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