「可愛くないよね……」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「#name1#ー!」
「ん?」
「壁ドンできる?」
「んん?」

英子のその言葉に首を傾げて、口にくわえていたドーナツに噎せる#name1#。真顔で聞いてきた英子も英子であるが、その質問の内容の意味を理解するのに彼女は数秒有した。それから、ドーナツを食べ終わり深呼吸をする。

「じゃあ、はい。壁、ドンッッ!!!」
「そっちじゃないわよ!」
「え?」

壁ドンとは、乙女が連想する方は男が女を壁に追いやって頭の横に手を付くアレである。が、#name1#が想像したのはマンションでやる方である。うるさい隣人に向かってする、壁ドン。
どこから出したのかもわからないハリセンで#name1#の頭を叩く友人。

「宮地さーん」
「あ、高尾くん」
「高尾、何?」
「#name1#先輩こんにちは!それと何でそんな機嫌悪いんすか」
「悪くねぇよ。んで、何だ?」
「いや、何かコイツが宮地さんに用事って」

ひょこりと高尾の影から現れたのは可愛らしい女の子である。ニコォ、と屈託の無い笑顔で笑った彼女は宮地にとある一通の手紙を渡して読んであげて下さいと言った。
その言葉の通り、書いたのは彼女ではないらしい。彼女の友達が書いたとのこと。ついでに言えば宮地はこういう手のものは苦手である。自分で渡しに来いよ、と飽きれるばかりだ。さて、ここでモテない男を敵に回した宮地だがきちんと受け取って一人教室を出ていった。

「……高尾くん、私なんか悲しいや」
「え?何か言いました?」
「ううん、なーんにも」
「高尾くーん、何センチ?」
「え、それ今聞くんすか。それを#name1#さんの前で言わさないでくださいよー虚しくなるんで!」

#name1#は宮地の後ろ姿を見たあとに、手紙を渡しに来た女の子をチラリと見た。可愛らしい、自分よりも20センチほど小さい彼女が羨ましかった。彼女ほどの身長の時、#name1#は既に小学校4、5年生だったはずだ。

「……何センチ?」
「え、私ですか?えっと、今年測ったものだと……154ですかね」
「可愛いねぇちっさい」
「えぇ、やですよ。小さいのも」
「そうなの?」
「だって長ーいスカートとか履くとズルズル引きずる時とかありますし」
「私なんてつんつるてんの時とかあるけど」
「脚長いって証拠ですよー!」

可愛らしい、男なら守ってやりたいと言うような容姿体型をした彼女を見て英子たちの輪に戻る。高尾の身長の話で盛り上がっているようだった。

「え、高尾くん#name1#よりちっさいの!?」
「ちょ、それ言わないでくださいよ!さり気に傷つくッ」
「あ、ごめーん。#name1##name1#」
「んー、何?」
「高尾くんに壁ドンしてみてー、逆壁ドン!」
「え、お姉さま方それ俺が損するだけじゃないすか!嫌っすよ」
「早く早く」
「#name1#、いきまーす!」
「え、待ってなんで拳握ってぎゃぁぁぁぁああああ!」

さりげなく壁際に追いやり、拳を握り込みそれを振りかぶって高尾の頭スレスレに叩きつける。鈍い音と高尾の悲鳴が響き渡る。

「ねぇ、高尾くん」
「はい?」
「え?聞こえない、もっと大きい声で話してよ!」

英子たちの声を背に高尾の肩に頭を預ける。教室で何やってんだー!とゲラゲラ笑う男子や女子もいれば悲鳴を上げる生徒もいた。

「やっぱり、ああいう女の子の方が宮地くんは嬉しいのかな?」
「え?」
「大きい女子は、可愛くないよね……」

清志くんといつも呼んでいるはずなのに、宮地くんとよび、いつになく弱気な彼女に高尾は心なしか焦った。いつも笑って宮地に飛びつきに行っている彼女はどこに行ったのか。

「いや、えっと……」
「ああ、もう!うそうそ、しんみりした話終わり!ごめんね、何でもない」
「え?」
「あっはは、照れた高尾くんかーわいい」
「ちょ、なんすかもー。心配して損した」
「やだ、心配してくれたの?じゃあ、ありがとうね〜」
「じゃあって何すか、じゃあって」
「#name1#ー、その体勢のまま何かキザな言葉言ってよ」

了解!と笑う彼女はいつもの#name1##name2#である。それにホッとしたのもつかの間、高尾はもう一度悲鳴を上げることとなる。#name1#の顔が近いのだ。
それに再び悲鳴を上げる生徒達。

「ねぇ、和成」
「ッッ!?!?」
「あなたがいればなんにもいらない。私じゃダメかな?」
「!?!?!?!?」
「ドヤァ……!」

高尾の顔は真っ赤でそのまま失礼しましたと脱兎のごとく3年生の教室から出て行ったのであった。
名前を呼ばれたことで真っ赤になった顔に追い討ちを掛けるような歯が浮くキザなセリフ。まぁ、言われ慣れていないのか本当にゆでだこのように顔が真っ赤であった。

「あ?高尾が顔真っ赤にして出てったけど何かしたのかお前」
「え、何にもしてないよー強いていうなら壁ドン」
「してんじゃねぇよ!後輩を汚すな」
「え、汚してないよ酷いなぁ」
「うーん、でもやっぱり#name1#がやられた方がいいわね。宮地、ちょっと#name1#に壁ドンしてみて」
「絶対やだ」
「よし、今から宮地の恥ずかしい話を赤裸々に語ってやるからみんな寄っといでー」
「はぁ!?」

英子と宮地は小学生からの仲だとか。そりゃ、彼の恥ずかしい話も知っている筈である。
そしてその後赤裸々に語られる前に宮地は#name1#に壁ドンをしたが、結局彼女が悲鳴を上げ鼻血を吹き出した。そして倒れたとか倒れてないとか。

。。。
紅華さん、ネタ提供有難う御座いました。こんなかいはあまり変態臭さやギャグチックではありませんでしたが、喜んでいただけると嬉しいです。言葉がキザだったのかとても不安です
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