「今すごく恋人みたいじゃない!?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー いつもどおりの日常が今日は違った。

「清志くん!危ない!」
「は?」

宮地をかばうようにして廊下の窓から出てきた#name1#。どこから出てきたんだと突っ込むよりも前に目の前にいる女が水浸しになっている状態に硬直した。

「#name1#……?」
「清志くん、濡れていない!?」

くるりとこちらを振り返って宮地を心配する彼女の姿に当然焦り、顔を背けた。

「ちょっと、待ってろ」

今日は荷物が少ないから、と言う理由で鞄に突っ込んできたジャージを急いで出した。それを#name1#に放り投げる。
おは朝をたまたま見た時自分の星座のラッキーアイテムはジャージだったのを思い出した。つくづくよく当たる占いである。

「こ、れは?」
「着とけ」
「わぁぁあ、清志くんの匂いだ!いい匂い」
「嗅ぐな!スンスンしてんじゃねぇよ!」
「だって、清志くんに抱き締められてるみたいで……」

自分の姿を見てジャージを渡された理由を理解した#name1#は宮地が放り投げたジャージに袖を通した。そしてそのまま袖口を自分の顔の前に持っていき匂いを嗅ぐのだ。それも至極幸せそうに。
それを見てコイツだから仕方ないと腹を括ろうとするが気持ち悪いものは気持ち悪いのだ。頭を抱えて、#name1#から一定の距離を取る。

「もう嗅ぐなら返せよ……」
「え、でも……」
「だぁぁあ!わかってるよ、脱ぐな!轢くぞ」
「んふふ」
「キモイ、ドMノッポ眼鏡のクセして。しかもメガネ拭けよ。水滴で見えてねぇだろ。ほら、ティッシュ」
「……私、このティッシュ一生使わない」
「使えよ!今使わずして何に使うんだよ!」

そんな周りから変な目で見られながら教室に向かう#name1#と宮地。変な目を気にしていたら#name1#とはやっていけないことを十分に理解している宮地はもうそんなこと慣れっこである。本人は慣れたくなかっただろうが。

「え、そんなこと聞くの……?」
「何でそこで照れるんだよ!拭けよ!……もう、本当にお前といると疲れる」
「でも、いてくれる清志くんは優しいね」

突然そう言いながらとなりを歩く#name1#は同じクラスなのだから離れたくても離れられないのだ。#name1#の言った言葉に一瞬固まった宮地はため息をつき、隣を歩く。

「別に、普通だ」

靴を履き替え、隣を歩く#name1#の頭を小突いた。

「やばい、今すごく恋人みたいじゃない!?」
「1回黙れ?な?」
「やだ、いい笑顔!ほら、もっと罵ってもいいよ!私に触れて!」
「キモイ」

そう言いながら#name1#に歩調を合わせ歩く宮地は女慣れしているのか、はたまた癖なのか、それはわからなかったが#name1#はその行為さえも嬉しく感じるのだ。

『宮地、#name1#!おめでとう!』

教室に入った瞬間、クラスメイトの揃った声に二人して固まった。拍手をされている意味がわからなかった。一部のクラスメイトは何故か涙ぐんでいる。

「待て、何勘違いしてんだ」
「何って、照れんなよ!ようやく付き合ったんだろ」

本日で何度目になるのか分からないが、宮地は頭を抱えてうなったのだった。涙ぐみたいのはこっちだと怒鳴りたい程度にはムカついている。#name1#に至っては何が起きているのか理解出来ず詰め寄ってくるクラスメイトの対応に追われている。

「つ、つつ、付き合った?え?」
「あらあら、彼氏さーん彼女さんがパニくってますよー」
「だぁぁあ!てめぇら一回黙れ。轢くぞ!」

冷やかしにイラつき蹴散らすために怒鳴った。それから、ジャージを貸している理由を説明する。そしてその説明が進む度にどんどんつまらなさそうな顔をしていくクラスメイトたち。それから、最後に団結力を発揮する。

『な〜んだ、つまんね』
「おい、その反応が一番イラつくんだよ。全員刺すぞ」
「ま、まぁまぁ、清志くん。いいじゃん」
「お前はいいかもしれねぇけど」
「私は清志くんに包まれているだけで幸せだよ!」
「お前いっぺんどっか行け、頼むから」

最後の#name1#の言葉に全員が全員、やはり無理なのかもしれないと落胆したのだった。ストーカーっぷり件宮地への愛情は今日も変わらずである。

「はっくしゅ!」
「……風邪引くぞ」

そして、頭にかけられたタオルに再び感動した。

「私これ一生使わ」
「使え!風邪引くっつってんだろうが!」

頭を乱暴に拭かれて、それさえも幸せに感じる#name1#は今日も変わらない日常をそれから送るのだった。

。。。
梓さん、ネタ提供有難うございました。少しでも変態臭さが伝わっていることを願います
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -