thirteen 

「骨折だけ済んだ自分の体の頑丈さに喜べ」
「いや、私死のうとしてたんで素直に喜べないです」
「ま、俺らに会えたのはその頑丈な体のおかげなんだし喜べよ!」


ゲラゲラと笑う目の前の人は何なのだろう。
車椅子を押してくれている黒髪の白衣を緑間さんとは違ってキッチリと着ていない男性。緑間さんは前を閉めているのに対してこの人は閉めていない。


「和成、照れるー」
「何に照れるのだよ。馬鹿が」
「えー、俺馬鹿じゃねぇよ?」


ブリっ子の真似をしながらうねうねしている彼は高尾和成さん。緑間さんと同期で、高校からの仲らしい。


「高尾さん」
「だから、和成でいいぜ?」
「……高尾さんは」
「ぶふぉっ」


今どこに笑う要素があったの。間なのか。もうなんか芝刈機欲しい。草いっぱい生えてる。緑間さんは慣れているのか笑ってる高尾さんのことガン無視してるし。


「小児科の先生ですか?」
「そーそー。何でわかったんだ?」
「私の扱いが子供を扱うようだったからです」
「あ、バレた?」
「そうだったんですね、やっぱり!高尾さんのバカ!」
「えっ」


車椅子を押してくれている高尾さんはコロコロと表情を変える。緑間さんとは正反対な高尾さん。このテンション差で高校の時バスケ部の相棒だったというのだから、先輩たちは手を焼いたのではないだろうか。


「佐倉」
「はい?」
「桃井に連絡して、家に置いてもらうといい」
「え、でも」
「それか、」


赤司か


そう言われた途端吹き出した高尾さん。どこが面白いのか。


「真ちゃんヘンターイ」
「何だと!?」
「ぶふぉっ、その反応ちょっと自覚してんだろー?」
「そんなわけないのだよ!ただ、赤司がコイツのことを随分かまっているからな」
「え、そうなの」


そうなんです。だからなんか引いているその目をやめて下さい。そんなに引かれると悲しいですから。
でも、さつきさん、か。
先程のこととあって少しだけ怖い。体を見られたのも、同性だからこそ恥ずかしい。傷だらけの体を見られたのが、とても恥ずかしかった。


「赤司さんに明日、連絡してみます」
「そうするといい」
「え、赤司でいいの?」
「ええ、赤司さんがいいんです」


変わった人だと思われただろうか。


「じゃあ赤司がダメだったら、ウチ来る?」
「へ?」
「はぁ?」


高尾さんの言葉に緑間さんと目を見開き阿呆な声を出す。上を見上げると楽しそうに笑みを浮かべている。


「いや、あの」
「佐倉ちゃんが、いいならおいで?」


そういうこと、言ったらダメだと思う。高尾さん、ただでさえイケメンの部類に入るのに。そしてさりげに照れます。


「高尾さん、そういうことは簡単に言ってはいけませんよ」
「ええー、照れてる?俺は別にいいし」
「う、うるさいです!」


ケラケラと笑う彼は私の頭を軽く叩くのだ。痛い痛い、痛いです。怪我してるのに、痛いです。
緑間さんの拳が高尾さんの頭に飛ぶ。というか、緑間さん背が高い。いや、決して高尾さんの身長が低いという訳ではないのだけれど。


「それより何で赤司と知り合いなんだ?」
「うーん、説明しにくいですね」
「そか、悪い悪い」


病室に付けば、ベッドに座らされ緑間さんと高尾さんは部屋から出ていく。


「佐倉ちゃん佐倉ちゃん」
「はい?」
「赤司にダメだって言われたらウチおいで」
「高尾!」
「今行くって!ばいばい」
「あ、え、はい」


こういうのって告白まがいなんじゃないの?高尾さんかっこいいから彼女とかいそうなのに、いないのかな?私みたいな何処の馬の骨かもわからない女を置こうとする高尾さんがわからない。


「変な人……」


とりあえず私の高尾さんの印象。




Friend of a friend of a friend was a very strange person.
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