「す、すみません!」
「ようやく起きた【おはよう】」
「お、おはようございます!」
【昨日はよく寝れたみたいだね】
「まぁ、はい」
寝心地が良すぎてぐっすり寝れた、なんて言えない。それに、寝顔を見られるとは……自分で起きるとか言っときながら私は起きられず、赤司さんに迷惑をかけてしまった。申し訳ない。
時計を見れば10時。私はどれほど熟睡していたのだろうか。取り敢えず、羞恥心いっぱいで洗面所と一言言って逃げた。
そして鏡を見て悲鳴をあげた。寝癖が酷い。さっきまでこの状況で赤司さんの前にいたのかと思うと……背中に冷や汗が伝った。
少し時間をかけて寝癖を治す。こんなに自分の髪質を呪うことになるとは思わなかった。
【直ったかい?】
リビングに行けばニヤケた口元を押さえながら携帯をこちらに向けてくる。
「ッッ!!!?言ってくれてもいいじゃないですかぁ!」
「ハハッ、すまないすまない」
「謝ってるんですか?」
「ああ」
口が開いて閉じる。何を言っているかはわからないけど何となくすまない、と言ってくれている気がした。しかも、笑いながら。
そしてキッチンに消えていった彼。ここの家は一体家賃どれだけかかっているんだろう。カウンターキッチン、一部屋一部屋の広さ。この若さでこれだけのものを持っているのさということは彼は相当な努力家か、仕事が完璧にこなせる人なのかもしれない。
というか、赤司さんは幾つなんだろう。
「赤司さん」
「ん?」
「幾つ、ですか?」
「俺?28」
2と8を作った手。28歳って、え、嘘。
「28だったんですか?てっきり私よりも若いと……」
【それは、どういう意味だい?】
「あははは……」
童顔だとかそんなの言えない。絶対あの反応気にしてるよね。
【そういう君は?】
「24です」
「え」
あ、間抜けヅラ。
【てっきりまだ大学生かと】
「ちょっと待ってください、私そんなに幼いですか、童顔ですかっ?」
ちょっとショック。でも、大学生を拾ったっていう認識だったのだろうか、赤司さんの中で。私は子供だから?だから拾った?
【はい、そんなことはいいから。どうぞ】
カウンターキッチンに並べられた美味しそうな料理。私だって人並みに料理は作れるけどこんなに綺麗に作ったことない。いや、何と言うか料理が輝いているといいますか。
美味しそうなそれを口に入れると、想像以上に……塩辛い。
【食べれる味?】
「し、塩辛いです」
【ごめん、あまり料理を作らないものだから。いつもは外食で済ませたりするからね】
これを私のために作ってくれたのならばなんだって美味しい。誰が作ってくれてもそれはきっと同じ。昨日のお粥は正直赤司さんが見てたからそんなに味がわからなかったが、これはわかる。舌がかなり刺激させられる味。
「私のために作ってくださったんですよね。美味しいです」
「ははっ」
【ならよかった】
「君のために作ってよかった」
「え?」
「何でもないよ」
「??」
Of anything can likely he was cooking tone deaf.
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