43話
あれから一日たってばあちゃんが帰ってきた。
ちなみに昨日とは反対で私がベッドに寝込んでおり、それをばあちゃんが看病してくれるというスタイルになってしまった。妙にしんどくて熱を測れば微熱があり朝には本格的に熱が出てしまった。昨日ぼうっとしてて頭乾かさずに扇風機の前にいたからだろうか。
夜久からは心配のメールが届いたり先輩達からもお大事に、なんて来たが鉄朗から来ることは無かった。結局昨日のメッセージにも既読がつく事は無かった。
「それで、大丈夫だった?昨日のお友達は」
「うーん、多分?」
「ごめんね、本当に」
「ううん!いいのいいの……ばあちゃんのせいじゃないからね」
「そう?ちゃんと、寝なさいよ」
「……うん、ありがとう」
体温計を脇の下から取り出すとばあちゃんは私の額にひんやりしたシートを貼って部屋を出ていった。体温計を見ると38.7だった。明日学校行けるだろうか。行けなかったら謝れないし、嫌だな。でも、合わせる顔もないというか。ここまで怒るなんて正直思ってなかったし、会いたくないというのも事実。
「ふぅ……頭痛い」
考え事をすると頭が痛むのだ。ばあちゃんの言う通り寝てしまおう。瞼をそう思って落とした。
。。。
「お前、いつまで意地はってんの」
「うっせ」
はっちまったものはしかたねぇじゃねぇか。
本当はなんで来れなかったのかも理由はわかってる。通知が来た時に相手が送ってきたメッセージがわかるようになっている俺の携帯。
電話がかかってきたけれど無視した。その後に気づいたメッセージ。本当は返すつもりだった。でも、変な意地が出ちまったんだ。
俺もまだまだ子供なわけで、拗ねてたんだよな多分。バカバカしいと今でも思うが意地を電話の時点で張ってしまったのだ。もう引き返せない。
「いやいやいやいや、引き返せる引き返せる」
「夜久にはわかんねぇよ……」
「いやいやいやいや、引き返すもクソもねぇだろ。部活終わったあと顔出してみろよ。熱らしいから」
「……」
「てか行け」
「はい」
夜久って身長はチビのクセに
「あぁ?」
「いや、スンマセン」
「ッチ」
「舌打ちっ!?」
まぁ、心がめちゃくちゃ広いよな。許す許さないだとかそういうもので計った心じゃなくて、他人を思いやる気持ちだとか、そういうの含めて全部。
身長のこと以外だけど。
「とりあえず、今日は#name1#のところ行ってこい。仲直りしねぇとお前はいつまでたってもウジウジしてそうだからさ」
「……サンキュ」
「見ててムズムズするんだよ、お前ら」
「何だよ、それ」
「早く言わねぇと取られるぞー。今のうちってな」
「はっ?何にだよ」
何の事だかさっぱりだと言っておこうじゃないか、夜久クンや。
馬鹿と言い残した夜久の背はいつもより大きく見えたのは気のせいだろうか。