23話
ダブルスって案外難しい。
それが今日初めて卓球の練習をして思った感想だ。
初めは動きが遅くて二人して尻で弾きあったりだとか、掠ったりだとか、ラケットをぶつけたりした。その度に謝るのだが、経験を積めばそうでもなくなったのかも知れない。
然程ぶつからなくなった。球を打てない、なんてこともなくなった。
「夜久ー、私たち以外と行けるんじゃない?」
「そう思えば思うほどダメになるぞ。ほら、やるやる」
「わかってるよ、ナメてるわけじゃない。ただ、初めに比べると成長したからさ」
「それは俺も思う。ぶつかる回数とかもう数える程だもんな。最初一回打つ度にぶつかってたし」
「そうそう」
そう言いながら隣のテーブルでしているもう一組を見る。中学の時に卓球部に入ってて、高校ではやっていない双子の子である。やはり、中学の時にやっていただけあってしかも双子だから息が合う息が合う。
夜久と二人してそれを見て、頷いた。
「よし、やろうか」
「おう、頑張るぞ」
やるならあそこまでとは言わないが、やれるところまでやるのがスポースマンのプライドである。
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鉄朗が来るのは明日。元気な姿を見ることができるのだろうか。とても心配である。
あのあとバレー部は注意不足だと指摘され、3年生はみなこうべを垂れていた。中には影で鉄朗を罵っている先輩もいて、ビンタをしたくなったほどである。
「夜久」
「何だ」
「私らが三年になったらさ、もっと厳しくてもいいよ。でもさ、やりきったなって。楽しかったなって、言える部活に、したい。みんなで笑える部活がいい。こんな部活、嫌だ」
三年生はこうべを垂れていたけれど、二年生は暴言。この人達が来年も先輩でいることが嫌だった。たった一年、たった一年先に生まれてきただけでどうしてこんなに偉そうにできるのだろう。先輩として、胸を張っているのはいい。でも、先輩として威張り、笑っているのはおかしいのではないのだろうか。
私なら絶対こんなふうになりたくない。だから、私はこの人達の背中は見ない。超えて行くんだ。
「おう。それが、一番だよな。すんぞ、そんな部活に。だから今は我慢だ」
あんな奴ら、抜かしちまおうぜ。そう言って一緒に夜久と笑いあった。