21話


「今日のLHRはもうすぐに迫っている球技大会の種目決めをします」



山内先生のその言葉を以外にも周りは真剣に聞いている。私も聞いておかなければ面倒なことになるのはわかっているので聞いてはいる。が、少し横に目線をずらせば窓の外を眺めている鉄朗の姿が目に入った。


「体育委員さん、こっからは頼みますね」


「はーい。ではー」


その部活に入っているものはその競技ができないらしい。ちなみにマネージャーもダメだという。
種目は卓球、バレーボール、サッカー、バスケット、野球。予選を勝ち進めて翌日本選が行われるらしい。面倒くさいし、負けたらいいかな。なんて温い考えを頭の隅に浮かべた。


「まずー、卓球6人定員です。ちなみに女子男子混合でも男女どちらかだけのチームでも構いませーん」


黒板に白いチョークで書かれていく女の子らしい丸い字。卓球と書き、下に女子と男子六つの枠を作った彼女はまた前を向く。ちなみに体育委員さんは二人いるが、もう一人は休みらしい。忙しそうだか、そんなことも感じさせない気だるげな声である。


「サッカーと野球は男子だけです。どちらも11.12程ですがー、掛け持ちでーす。体力のある人がしてくださーい」


黒板に書き足して、また前を向く。彼女の間延びする気だるげな声は眠気を誘う。瞼が先程から重たい。


「バスケットは5人。バレーは9.10人です。掛け持ちをしなければならない人が出るかもしれませんが、頑張ってくださーい。ちなみに体育委員は審判などでいませんー。のでー、数には入れないでねー」


自由に書きに行く制度にした彼女は机に突っ伏してみんなが書き終わるのを待っていた。


「#name1#、何にする?」


「身長関係なさそうだし卓球」


「おー、それいいな。ダブルスする?」


「あ、いいね。ダブルス枠に書いてくるよ」


サンキュー、その言葉を背に黒板に向かって歩く。ある程度書かれたそこには運良く卓球のダブルス枠が空いていた。もうたくさんの生徒に使われ、また落とされたであろう短いチョークを手に取り夜久と#name1#と書く。


「あ」


梨花は平気かと、自分の席に戻ってから焦って朝比奈の名前を探せばバレーのところに名前がありホッとした。どうやら友達と出るらしい。黒尾の名前を探すと彼らしい、バスケットの欄に名前があった。身長的に、そうなるだろう。


「でかいやつはかっこいい競技選ぶよなー」


「じゃあ、サッカーやったらいいのに」


「手で触りそうになるからやめとく」


「そう言う事か」


「飛んできたら触りたくなるだろ。味方に上げたくなる」


「あはは!リベロらしいわ」


本当にバレーが好きな彼らしい回答であった。それから体育委員さんの彼女がいろいろ説明してくれたが、あまり記憶にない。間延びした彼女のその声に意識を覚醒させることが困難だったからだ。
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